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【新型コロナ感染症が増えて、インフルエンザが既に流行入りしています】

 こんにちは。院長の黒田です。

 
 「新型コロナウイルス感染症」が、令和5年5月8日から、従来の「2類感染症」から「5類」に変更されました。

これに伴って、社会活動の制限が大幅に緩和されて、コロナ禍前のように、各種の行事・イベントの再開、海外からの旅行者の増大、マスク装着の自由化、公衆トイレでのハンドドライヤーの再開など、まるで新型コロナ感染症が根絶したかのように、身の回りで大きな変化が起きていると思います。

 但し、新型コロナ感染症の感染者は、4月以降もゆっくりと増えてきており、最近はさらにその数が増えている印象です。 厚生労働省によりますと、9月3日までの1週間に全国およそ5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から7497人増えて10万1289人となりました。

下記は、新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数です。 

 

 内閣官房のHPより(上記表は、クリックで拡大します)

 

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、9月10日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が20.19人で。厚生労働省は「緩やかな増加傾向が続いていて、引き続き感染対策を徹底してほしい」としています。

 下記のグラフを見ていただくと分かりますが、昨年末12月~1月と同数に近づいていることが分かります。また、5類感染症への変更に伴い、医療機関を受診せずに家庭で自己検査を行っている人や、検査そのものを受けずに風邪と考えて登校・出勤している人も多数いると思われますので、実数はもっと多いと推定されます。

 (新型コロナウイルス感染者数)

(NHK HPより)

 

 また、5類移行に伴って、マスク着用は個人の判断となりましたが、下記の通り、厚労省は医療機関を受診する際にはマスクの着用するように周知しています。

 当院でも、「乳幼児・小児や、診察を受けない付き添いの場合でも、マスクの着用」をお願いしております。

 

「2歳以下のマスク着用は危険だから、着用しなくて良い」と主張される保護者の方もいらっしゃいますが、それは医療機関や高齢者施設の訪問をせずに、公園で遊んだり、保育園・幼稚園に登園したり、通常の家庭生活を送る際に該当することです(医療機関などへ行かないのならば、マスク着用は不要です)。

           

 

 当院には、抗がん剤を内服して闘病している方や、免疫抑制剤を投与中で感染すると重症化のリスクがある方、高齢者で抵抗力の低い方、睡眠時無呼吸症候群の方、呼吸器・循環器・消化器など他院で基礎疾患を治療中の方、障害のために車椅子で寝たきりで自身では一切体を動かせない方、人工透析を受けていて免疫力が低い方、妊婦さん、など、本当に色々な患者さんが来院されています。

   

その方々は、新型コロナ感染症に罹患すると、重症化しやすく、入院加療が必要になる可能性が高く、感染症に対して非常に気を使っていらっしゃいます。実際に、新型コロナ感染症での入院者数は、現在でも相当数いらっしゃいます。

     

 

 一方、乳幼児・小児では、感染者数は依然として多いのですが、低年齢層では症状が顕在化しにくく、発熱も全くなく(元々の基礎体温も37度前後なので、微熱があるのか分かりにくいです)、咳、鼻水などの感冒症状だけにも関わらず、それがコロナ感染症であることが稀ではありません。

 

 また、当院はコロナ禍前に建築されたその構造上、風邪症状の方と、そうでは無い方の玄関・待合室・診察室は別れておらず、全く同一です(小児科以外のほとんどの医療機関が、そのようになっていると思います)。

 つまり、新型コロナ感染をしている全く無症状(あるいは発熱の無い風邪症状のみ)の乳幼児・小児が、知らないうちに待合室で、誰かに感染させてしまう可能性があるのです。

「乳幼児・小児自身は、新型コロナに感染しても症状が軽いから」、とはまた別の意味の話なのです。

 

 

 ですので、「発熱も無いし、新型コロナ感染症であるはずが無く、風邪症状なんだから、マスクはしない。診察して薬を出してください」、「付き添いの子供は乳幼児なので、マスクは絶対にしない」という保護者の方が、稀にいらっしゃいますが、当院では上記や厚労省の方針を踏まえて、

「全ての方に来院者(付き添い者を含む)に、マスク着用」をお願いしております。

どうしても同意いただけない場合には、マスク着用は不要で良いという他の医療機関の受診をお願いしております。

 

マスク着用に関しては、下記の厚労省のポスターをご参照ください。

(厚労省のHPより。クリックで拡大します)

 

 

 

 さて、話題を変えて、「インフルエンザ感染症の現状」をお伝えいたします。

今年は、季節外れのインフルエンザが流行し、昨シーズンの冬から1年を通して流行が続いており、苫小牧市でも、夏であるにもかかわらず、小中学校では学級閉鎖・学年閉鎖・学校閉鎖となっています。

 

 国立感染症研究所によりますと、9月10日までの1週間に全国およそ5000か所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は2万2111人で前の週から9473人増えました。1医療機関あたりでは4.48人で前の週から1.92人増えています(下記のグラフを参照ください)。


 また、このデータを元に推計されるこの1週間の全国の患者数はおよそ15万1000人で、地域ごとでは、全国の44の都道府県で前の週より増加したということです。

(国立感染研究所HPより。クリックで拡大します)

 

 ちなみに、この数値が「1」を上回ると、「インフルエンザの流行入り」「10」を上回ると「インフルエンザ注意報」、「30」を上回ると「インフルエンザ警報」が、都道府県から発令されます。 

下記のグラフを見ると、過去10年の流行状況と比べて、3~5ヶ月ほど早く基準値を超えていることが分かります。

 

(国立感染研究所HPより。クリックで拡大します)

 

 この季節外れのインフルエンザの流行の原因ですが、識者によると、

「新型コロナとの同時に検査できるキットが普及し、インフルエンザが以前より見つかりやすくなったことも関係していると考えられるが、コロナ対策でここ数年、流行が抑えられ、免疫を持たない人が多いことが影響しているとみられる。今の時期、冬のシーズンのように爆発的に患者が増加するリスクは低いと考えているが、流行状況に注意する必要がある。」
「コロナだけでなくインフルエンザも流行し、私たちの周りにウイルスが潜んでいる。かぜの症状が見られたら、コロナやインフルエンザに感染しているかもしれないという意識をもって、無理して外出せず、自宅療養することが大事だ。症状が重くなって不安がある人は、医療機関を受診して早めの診断や治療を受けることが大事だ」

とのことです。

 

 東京都が9月14日に公表したインフルエンザの都内の感染者数によりますと、インフルエンザの感染者数は9月10日までの1週間に1医療機関あたり5.95人と、統計を取り始めた1999年以降、この時期としては過去最多となりました。

 季節外れの9月にインフルエンザが流行しており、しかも感染者のほとんどが小児や若年者で、学級閉鎖・学年閉鎖の原因になっているようです。

(NHK HPより。クリックで拡大します)

 

 東京都は9/21、インフルエンザの患者報告数について、「流行注意報基準(10.0人)」を超えたと発表して、「今後さらに流行が拡大する可能性がある」としています。

(東京都感染症速報より。クリックで拡大します)

 

下記は、埼玉県庁の発表ですが、やはり季節外れにインフルエンザが流行していることが分かります。

(埼玉県庁のHPより。クリックで拡大します)

 

また、愛知県も県内のインフルエンザの発生状況について、下記グラフのように、県内のインフルエンザ患者の定点医療機関当たりの報告数が、「4.89」となり、9月14日付けで、「インフルエンザの流行入り」を発表しています。

(愛知県HPより。クリックで拡大します)

 

 

以上より、9月時点で既に、新型コロナ感染症の増加と、インフルエンザの非常に早期からの流行が同時に起きていることが分かります。以下は東京都の両感染症の患者報告数ですが、9月の時点で既に非常に感染者数が多く、これから本格的な冬に向かうにつれて、「新型コロナ感染症」、「インフルエンザ感染症」の両者に注意が必要と考えられます。

(東京新聞HPより。クリックで拡大します)

 

 以上より、今年の冬も、「インフルエンザ」と「新型コロナ」が同時流行して、いわゆる『フルロナ』という重複感染が生じることが懸念されています。

 年末でどうしても仕事を休めない方、感染しても薬が飲めない妊婦さん、受験生のいる家庭、基礎疾患のある方、ご高齢者、乳幼児・小児、などは、是非とも、予防接種を受けていただくことをお勧めいたします。

 当院では、上記の様な例年とは異なる状況を踏まえて、今年のインフルエンザワクチン接種を早めに開始するために、9月中から既に予約を受け付けており、既に100名近い方が予約なさっております。

 インフルエンザワクチンの接種を考えていらっしゃる方は、早めに予約をされることをお勧めいたします。

【当クリニックの新型コロナウイルス対策について】

 こんにちは。
 たくゆう耳鼻咽喉科クリニックの黒田です。
 

 新型コロナウイルスが世界中で流行し、日本でもようやくワクチン接種の準備が進んできましたが、世界各国で接種が進んでいるのに比べると、かなり遅れているのが現状です。
苫小牧市の新型コロナウイルスのワクチン接種に関する情報は、以下のバナーから見ることが出来ますので、ご参照ください。
 
   苫小牧市コロナ情報2
上記画像をクリックすると、HPにリンクします
 

 現在は、ワクチン開発と並行して、治療薬の開発も進められています。まだ治験段階で、本当の治療に使える段階ではありませんが、「予防」と「治療」の両輪が根付いて、早くマスクの要らない元の生活に戻れる日が来ることを期待しています。
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 ここで、マスクに関する情報をご紹介致します。
昨年10月に、豊橋技術科学大学が、スーパーコンピューターを使って以下のような解析を行っています。
 TV番組では、芸能人などが「マウスシールド」なる奇妙な物を装着していますが、未装着と何ら変わらないことが分かります。
また、使い回しが出来てデザインも豊富なことから「ウレタン製マスク」が広く使われていますが、「不織布マスク」ほどの効果はありません。
 状況に応じて使い分ける必要があるのかもしれません。
   マスクとフェイスシールドの効果
  (上記画像をクリックすると拡大表示されます
(国立大学法人豊橋技術科学大学Press Releaseより)

 

 昨年春先に、テレビやインターネットなどで、「耳鼻咽喉科を受診すると、新型コロナウイルスに感染する」という誤った情報が流れて、日本中に拡散しました。
 これをきっかけに、医療機関のうちでも、特に耳鼻科の定期通院をやめてしまったり、症状があっても重症化するまで我慢する方が増えてしまいました。
 当クリニックでも、定期受診が必要だったり、聴力や甲状腺の定期検査が必要だった患者さんが、新型コロナウイルスに感染するのが怖くて、受診しないで様子をみていたと言っておりました(今年になって、久しぶりに来院された方に理由をお聞きしたところ、このようにおっしゃっておりました)。
  佐々木希
上記画像をクリックすると、タレントの佐々木希さんからのメッセージが見られます



 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、医療機関はこれまで以上に感染防止対策に取り組んでいるところですが、これまで通院されていた方、生活様式が大きく変化し不調を来した方が感染リスクを恐れて、医療機関への受診を控えたり、先延ばしするといった現状があります。
 このような状況から、日本医師会では、患者さんが安心して医療機関に来院できるよう、感染防止対策を徹底している医療機関に対して、『新型コロナウイルス感染症等感染防止対策実施医療機関 みんなで安心マーク』を発行しています。

  日本医師会
上記画像をクリックすると、日本医師会の説明が見られます

当クリニックは、「感染症対策実施医療機関」です。
新型コロナウイルス感染症対策チェックリストに沿った対策を実施していますので、安心してご来院いただけます。

   みんなで安心


「病院へ行くと、新型コロナウイルスに感染する」という誤解をされる理由は、以下のようなものではないか、と考えています。

① 病院の施設そのものに新型コロナウイルスがいて、
  行けば感染する。
② 新型コロナウイルスに感染している患者が待合室にいる、
  もしくは、無症候性の小児や若年の感染者がいて、
  院内感染で新型コロナをうつされる。
③ 病院の医師やスタッフが、新型コロナ患者と接触していて、
  医師やスタッフから新型コロナをうつされる。

これらの誤解に関して、順にご説明させていただきます。

【 ① 病院に新型コロナウイルスがいるという誤解 】
 もちろん、院内に新型コロナウイルスはいませんし、徹底した対策を毎日行っています。
 当院の新型コロナウイルスへに対して実施している実際の取り組みをご紹介致します。受付・医師・看護師が、「院内感染防止のための様々な対策」を講じていることをご理解いただけると思います。

TEC感染対策
 上記画像のクリックで、当院の感染対策ページをご覧いただけます

 その他、鼻やのどの治療のためのネブライザー吸入治療も、この治療によるエアロゾル感染は生じないことが科学的に証明されており、世界的権威のある論文として発表されています。
 また、当院では、隣の方との間を分厚い木製のパーティションで区切って、距離を取り、飛沫感染の対策を実施していますので、安心して治療を受けていただくことが出来ます。
 もちろん、吸入治療スペースはこまめに消毒を行っています

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 下記以外にも、院内各所に感染対策を施していますので、ご覧いただけますと、安心できるのではないでしょうか。

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また、全ての患者さんに共通ですが、診察室に入ってからも、マスクは装着したままでお話しをして、鼻やのどをみる数秒間だけ、マスクを顎の下にずらして診察させていただいています。これも、院内感染を防ぐための対策の一環です。

   マスクは外さない


 

【 ② 新型コロナウイルスに感染している患者が待合室にいる、もしくは、無症候性の小児や若年の感染者がいて、院内感染で新型コロナをうつされるという誤解 】 

 病院を受診することで、「他人から新型コロナ感染症をうつされる」ことを心配している方が多数いらっしゃると思います。そこで、当院では院内感染防止の観点から、待合室で発熱患者さんと一緒になることが無いように、様々な工夫をしております。

 既に発熱中の患者さんには、来院せずに、まずは電話で相談していただき、その内容をお聞きした上で、来院していただくかを判断させていただいております。少しでも新型コロナ感染症の可能性のある方が待合室にいない状況を作るためです。受診している方が、院内感染の心配をせずに、安心して来院できる環境作りのためですので、ご理解のほどをよろしくお願いいたします。
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       クリックすると拡大表示されます

 直近2週間以内で発熱のあった方は、状況次第では、苫小牧市の「新型コロナPCR検査センター」を先に受診していただき、検査翌日の午前中には結果が判明しますので、新型コロナウイルスの陰性が証明されてから受診していただいたりするなど、徹底した院内感染対策を行っております。
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 また、当院を受診した際には、受付で全ての患者さんの検温を行っております。来院前の自宅での検温で正常だった方も含めて、全ての来院者に実施させていただいております。今では、日本中のショップやレストランでも、定着している「非接触型の体温計」での検温を使用しております(症状によっては、消毒殺菌済みの体温計で、再度検温することもあります)。

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 さらに、乳幼児の患者さんは、マスクの装着を嫌がると思いますが、当院では院内に入られる全ての方にマスクの着用をお願いしております。申し訳ありませんが、来院前に乳幼児用マスクを準備してきていただくか、受付にご相談ください。
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 乳幼児は、病院に来たという恐怖心だけで、泣きやまなくなってしまうことも多く、泣き叫んで咳き込みながら、待合室で過ごしていることも多々あるかと思います。
 新型コロナの流行前までは、乳幼児のマスク装着は不要としていました。しかし、新型コロナウイルスの流行している現状では、飛沫感染による他の患者さんへの院内感染を予防するために、「乳幼児でもマスク装着を必須」とさせていただいております。
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 待合室には免疫抑制剤が投与されている方や、心臓や腎臓などに持病をお持ちの方、ご高齢の方など、感染症に罹患すると重篤化してしまう患者さんも、いらっしゃいます。小さなお子さんをお連れの保護者の方にはご面倒をおかけ致しますが、「全ての患者さんが安心して受診できる環境」を作るために、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
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【 ③ 病院の医師やスタッフが、新型コロナ患者と接触していて、医師やスタッフから新型コロナをうつされるという誤解 】
  
 受診する側と、医療機関側の両方が、しっかりとマスクの着用・手指消毒・検温などの感染対策を行っている限り、耳鼻咽喉科クリニックの受診で新型コロナウイルスに感染することは考えにくいと思われます。
 当院スタッフは全員、1日2回の検温を行い、感染予防のための特殊な不織布マスク(サージカルマスク)を装着して、こまめに手指消毒を行っています。体調不良者は出勤していません。
 「感染症対策実施医療機関」の基準を満たした医師とスタッフですので、安心して病気のご相談をしていただけます。

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 当クリニックでは、今後も上記の感染対策を継続して、安心して受診できる環境を整えて参ります。また、少しでも早く新型コロナ感染症が収束して、元の生活に戻れる日を願っております。
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【ハンノキ花粉症が終わり、シラカバ花粉症が始まります】

 こんにちは。
 たくゆう耳鼻咽喉科クリニックの院長の黒田です。
 
 今年は2~3月の気温が観測史上で最高を記録して、雪が積もることも路面が凍結することも無く、暖かい春の陽気を感じる日が続きました。
 気温上昇の影響で、春の花粉が例年よりも早く飛散しており、飛散量も多くなっています。
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 例年は、3月の雪解けの頃に飛散する「ハンノキ」の花粉が、今年は3月初めから大量に飛散しています。
 既に血液検査で自分が「ハンノキ花粉症」であることを知っている患者さんは、3月中に来院してアレルギー性鼻炎の治療を開始しています。
 
 実際の飛散量は以下の通りです。
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上の図をクリックすると拡大表示されます
   (北海道立衛生研究所のHPより)
 
 花粉症では、「鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ」などの症状が強く出る傾向があります。
   
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 また、鼻風邪と花粉症を区別することは重要です。
 花粉症の場合には、風邪薬では効果が無いことが多く、また、適切な薬剤を選択しなければ、十分な効果が得られません。
 アレルギー性鼻炎かどうかを調べて、実際に鼻の中を見てもらって、専門医から適切な処方を受けることが大事な理由は、ここにあります。
     
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 そろそろ「ハンノキ」の花粉症は一段落して、今後4月中旬~5月いっぱいは「シラカバ」花粉症の時期になります。
 今年の北海道のシラカバ花粉症ですが、以下の通り、花粉の飛散量は例年並みとの予報が出ています。
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 (上の図をクリックすると拡大表示されます
    (日本気象協会のHPより)
  
 ちなみに、昨年のシラカバ花粉の飛散は、以下の通りでした
(今年は、4/16現在、まだ報告はありません)。
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 (上の図をクリックすると拡大表示されます
   (北海道立衛生研究所のHPより)
 
 ゴールデンウイーク頃をピークに、非常にたくさん飛散していたことが分かります。気温次第でピーク時期が前後するのでしょうが、今年も多数の飛散が予想されます。
 検査を受けて、自分が「シラカバ花粉症」と分かっている人は、まだ発症前であっても、「もうすぐシラカバ花粉の時期なので」と、お薬を受け取りに来ている方が多数いらっしゃいます。
 自分の「体質」が分かってることのメリットは、このあたりにあります。

 自分の症状が「花粉症」に似ていて、まだ一度も検査を受けたことが無い方は、耳鼻咽喉科専門医を受診して、花粉症を含めた「アレルギー検査」を受けることをお勧め致します。
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 花粉症のときには、気道の過敏性が亢進して咳も出やすく、「アトピー咳嗽(がいそう)」といわれる「一度始まるとなかなか止まらない咳」を合併することもあります。
 そして、鼻水が多くなると後鼻漏(こうびろう)も増えるため、後鼻漏による咳が加わって、さらに症状が悪化することがあります。
 この場合には、風邪用の咳止めでは無く、花粉症用の咳止めを使用すると効果的です。
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 鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの鼻症状については、耳鼻咽喉科専門医の受診をお勧めいたします。
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春の花粉症が始まりました。

こんにちは。
たくゆう耳鼻咽喉科クリニックの黒田です。
 
 世界中で新型コロナウイルスの感染が広がり、パンデミック状態が宣言されています。未知のウイルスに対する検査方法も治療法も確立しておらず、無症状の感染者が周囲に感染を広げている様です。
 鼻やのどからの飛沫物で感染することが分かってきており、鼻やのどを診察するのが仕事である耳鼻咽喉科の医師としては、自分自身が感染者とならないか、感染の媒介者にならないか、細心の注意をはらっています。診察や、カルテ書きを含めて、何らか行為をしたらすぐに手指消毒、をこれまで以上に意識的に行うようにしています。
感染のリスクを考えて、「鼻やのどの診察はしません」「鼻やのどの検査はしません」という耳鼻咽喉科もあるようです。当院は、厚労省や保健所などの指針に従って、診療を続けていく方針です。


 さて、そろそろ新学期も始まり、小学校では5~6月にかけて、耳鼻科検診が始まります。
該当する学年のお子さんがいるご家庭では、お子さんの日々の状況を記録する問診票が配られます。
また、検診の際に耳垢で鼓膜が見えない状態だと、後日の耳鼻科受診が必要になります。できるだけ、検診を受ける前に耳垢を取り除いておきましょう。耳の穴の見えるところにある物はご家庭で、耳の穴の内部にあって見えない物は耳鼻咽喉科専門医を受診して、耳の中のお掃除をしておいてください。
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 3月になり、今年も花粉症が本格化してきました。
例年よりも早く、3月初めには「ハンノキの花粉症」が始まっており、4月からは、「シラカバの花粉症」が始まります。シラカバ花粉症では、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ、頭痛などの症状が強く出る傾向があります。
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鼻風邪と花粉症を区別することは重要です。
花粉症の場合には、風邪薬では効果が無く、また、花粉症の程度によって適切な薬剤を選択しなければ、薬を内服しても十分な効果が得られないことがあります。
アレルギー性鼻炎かどうかを調べて、実際に鼻を見てもらってから処方を受けることが大事な理由は、ここにあります。

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それでは、今年の2月に発表されていた「シラカバ花粉症」の飛散予測がどうだったか、見てみましょう。

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       (日本気象協会のHPより) 
例年比では、130%と、いつもよりやや多い程度です。 

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        (日本気象協会のHPより)
しかし、昨年との比較では、300%(!)です。
 

そして、実際の飛散量は以下の通りです。
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       (北海道立衛生研究所のHPより)

 まだ、4月の「シラカバ」は飛散していませんので、3月の花粉症である「ハンノキ」の飛散状況を見ています
 (「シラカバ花粉」の飛散状況については、4月に入ってから報告が出てくると思います)。
例年以上にたくさんの花粉が、しかも3月初めから一気に飛散していることが分かります。
今年は、ご自身が「ハンノキ」花粉症であることをご存知の方は、3月に入るのと同時に、鼻水・くしゃみ・目のかゆみがつらくて、たくさん来院されています。

 「ハンノキ」花粉症の方は、だいたいが「シラカバ」花粉症も持っているため、来院時には「今年はシラカバの花粉の飛散量が、昨年の3倍と予想されていますから、4~5月も続けて治療しましょうね」と声かけをするようにしています。
自分が「ハンノキ」「シラカバ」の花粉症だと分かっている方は、この時期はしっかりと治療されています。
但し、昨年は「シラカバ」の飛散量が予想に反して少なめでした。なので、全く治療をしなかったけれども、鼻の調子は良かった、という方もたくさんいらっしゃると思います。しかし、今年はかなり状況が異なるようです。 

 以上より、
「シラカバ花粉症」の診断がついていて、昨年は無症状で過ごせた方でも、今年は鼻水・鼻づまり・くしゃみ・目のかゆみがひどくなる人が多いのではないかと、予想しています。

「シラカバ花粉症」の方は、今年はひどくならないうちに、耳鼻咽喉科専門医へご相談ください。
 
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以上のように、「自分が花粉症を持っているか」を知っておくことは重要で、正しい治療を受ける近道になります。
一度調べてしまえば、今後毎年の鼻症状について、自己診断することも可能になるので、「花粉症の時期が来たので、今年も来院しました。いつものお薬をお願いします」とおっしゃって来院する患者さんもたくさんいます。
 
花粉症のときには、気道の過敏性が亢進して咳も出やすく、「アトピー咳嗽」と言われるような一度始まるとなかなか止まらない咳を合併することもあります。そして、鼻水が多くなると後鼻漏も増えるため、鼻汁による咳を伴って、さらに症状は悪化することがあります。
「鼻かぜではなく花粉症かも」、「鼻とのどの風邪ではなく、花粉症に伴う咳かも」と考えてみても良いかもしれません。
咳がなかなか止まらない場合には、耳鼻咽喉科専門医でアレルギーの検査を受けていただき、必要があればアレルギーの治療を開始することをお勧めいたします。

         150312-img03    

 
 また、小児の場合には、鼻水の出る状態が長く続くと「中耳炎」を合併することが多いため、しっかりと耳垢を取り除いて鼓膜を確認することが重要です。中耳炎は軽症であれば薬を飲むことで改善しますが、重症化してしまうと、激しい耳痛、発熱、さらには鼓膜が破れて耳だれが出ることがあります。重症化して鼓膜がぱんぱんに腫れている場合には、鼓膜切開術が必要になることがあります。
小さな子供は、耳の不快感があっても保護者に訴えないでいることが多いので、「鼻水が出ているし、もしかしたら中耳炎になっていないかな?」と考えてあげることが大事です。

 春の花粉症の時期は、年度替わりの新学期の時期と重なります。なので、「この春から保育園に通い始めたら、鼻水が止まらなくなった」「鼻水が出ながら幼稚園に通っていたけれど、『発熱しているので』とお迎えに来るよう言われた」という相談がたくさんあります。中耳炎を合併していることが少なくありませんので、耳鼻咽喉科専門医を受診することをお勧めいたします。

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 そして、小児、成人を問わず、「アレルギー症状」と決めつけずに「副鼻腔炎」の有無を調べることも重要です。小児の場合、アレルギー性鼻炎患者の約50%が副鼻腔に異常があり、逆に副鼻腔炎患者の25~75%にアレルギー性鼻炎が認められると言われています。
2つの病気を合併している場合には、両方の治療が必要なことが少なくありません。
副鼻腔炎は中耳炎を難治化させる原因としても知られており、長引く中耳炎では副鼻腔炎の有無を確認することが重要です。
 

この時期の「鼻水、鼻づまり、くしゃみ・目のかゆみ」などの症状については、耳鼻咽喉科専門医の受診をお勧めいたします。
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春の花粉症が終わり、夏の花粉症が始まりました

 こんにちは。たくゆう耳鼻咽喉科クリニックの黒田です。
 
 元号が、平成から令和に変わりました。しかし、周りで起こっていることには何ら変化が無く、新しい時代を感じることがあまり無い気がしているのは、私だけでしょうか。
 5~6月には、小学校で耳鼻科の検診が始まります。学校検診の結果、耳鼻咽喉科の受診を勧められた場合には、忘れずに受診しておきましょう。   
            
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 さて、今年も花粉症が本格化してきました。
 鼻の症状があるときに、風邪なのか、アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)なのかを区別することは、非常に重要です。なぜなら、アレルギー性鼻炎の場合には、風邪薬では効果が無く、また、花粉症の程度によって適切な薬剤を選択しなければ、抗アレルギー剤を内服しても十分な効果が得られないことがあるからです。
 アレルギー性鼻炎かどうかを調べて、実際に鼻を見てもらってから処方を受けることが大事な理由は、ここにあります。
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季節性の花粉症ですが、4月下旬のゴールデンウイーク前の頃から、「シラカバの花粉症」が始まっています。シラカバ花粉症では、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ、頭痛などの症状が強く出る傾向があります。
 それでは、今年の2月に発表されていたシラカバ花粉症の飛散予測について、見てみましょう。飛散数は、過去10年との比較では50~70%と少ないだろう、と予想されていました。

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 (日本気象協会のHPより)
 

そして、実際の飛散量は以下の通りです。
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(北海道立衛生研究所のHPより)

 予想は当たっており、例年に比べて非常に少なかったことが分かります。
例年ですと、シラカバ花粉症の方は、4月のうちに「鼻水・鼻づまり・くしゃみ・目のかゆみ」が強くなり、受診されていました。
 しかし、今年は5月の中旬以降、特に下旬になってから受診される方がほとんどでした。飛散量と症状の強さが、完全に一致するわけではありませんが、今年は症状が軽くて、様子をみていた方が多かったと思われます。
 6月以降は、シラカバ花粉の飛散が無くなりますので、アレルギーの薬は終了です。また来年の4月以降に花粉症の症状が始まったら、治療を行うことになります。
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 シラカバ花粉の飛散は少ないままで終わりになりますが、それに代わって夏の花粉症が早々に始まっています。「カモガヤ」に代表されるイネ科の牧草系の雑草の花粉症です。例年、5月中は少量しか飛散せず、6月に入ってからピークを迎えるのですが、今年は、5月の時点で大量に飛散しています。
 下図のように、これからも飛散量が増えていきそうな勢いで、今年の6~7月は、「カモガヤ花粉症」の症状が強く出そうです。

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(北海道立衛生研究所のHPより)

 実際、当院で「カモガヤ花粉症」と診断されている方は、「くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみ」の症状で、5月中から治療を開始しています。そして、来院される患者さんの数も例年に比べて多い印象です。自分自身が「カモガヤ花粉症」だと分かっている方は、早期から適切な治療を行えるわけです。
 ちなみに、「カモガヤ」って、どんな草だと思いますか。実は、牧草地帯で無くても、普通に道ばたに生えています。公園や住宅の庭にも生えています。下の写真が「カモガヤ」です。どうでしょう、見たことがありませんか?

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花粉症のときには、気道の過敏性が亢進して咳も出やすく、「アトピー咳嗽」と言われるような、一度始まるとなかなか止まらない咳を合併することもあります。そして、鼻水が多くなると後鼻漏も増えるため、鼻汁による咳を伴って、さらに症状は悪化することがあります。
 「鼻かぜではなく、花粉症かも」、「鼻とのどの風邪ではなく、花粉症に伴う咳かも」と考えてみても良いかもしれません。
 咳がなかなか止まらない場合には、耳鼻咽喉科専門医でアレルギーの検査を受けていただき、アレルギーの治療を開始することをお勧めすることがあります。
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 また、小児の場合には、鼻水の出る状態が長く続くと「中耳炎」を合併することが多いため、しっかりと耳垢を取り除いて鼓膜を確認することが重要です。中耳炎は軽症であれば薬を飲むことで改善しますが、重症化してしまうと、激しい耳痛、発熱、耳だれが出ることがあり、場合によっては鼓膜切開が必要になることがあります。
 小さな子供は、耳の不快感があっても保護者に訴えないでいることもあり、「鼻水が出ているし、もしかしたら中耳炎になっていないかな?」と考えてあげることが大事です。
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そして、小児、成人を問わず、「アレルギー症状」と決めつけずに副鼻腔炎の有無を調べることも重要です。小児の場合、アレルギー性鼻炎患者の約50%が副鼻腔に異常があり、逆に副鼻腔炎患者の25~75%にアレルギー性鼻炎が認められると言われています。
 2つの病気を合併している場合には、両方の治療が必要なことが少なくありません。

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鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの鼻症状については、耳鼻咽喉科専門医の受診をお勧めいたします。
    

今年はシラカバ花粉が多数飛散しています

こんにちは。
たくゆう耳鼻咽喉科クリニックの黒田です。
 
5月に入っても気温が上がりらず、寒さも感じる日が続いていましたので、風邪症状で受診される方がたくさんいます。しかし、今後は気温も上がり、春の陽気を感じられる日も増えてくるのでは無いでしょうか。

そして、今年も花粉症が本格化してきました。
3月にはハンノキの花粉症があり、ゴールデンウイーク頃からは、「シラカバの花粉症」が始まっています。シラカバ花粉症では、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ、頭痛などの症状が強く出る傾向があります。

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鼻風邪と花粉症を区別することは重要です。
花粉症の場合には、風邪薬では効果が無いことが多く、また、花粉症の程度によって適切な薬剤を選択しなければ、抗アレルギー剤を内服しても十分な効果が得られないことがあります。
アレルギー性鼻炎かどうかを調べて、実際に鼻を見てもらってから処方を受けることが大事な理由は、ここにあります。

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それでは、今年の2月に発表されていた「シラカバ花粉症」の飛散予測がどうだったか、見てみましょう。
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(日本気象協会のHPより)

予想では、ここ数年との比較では50-70%と少なく、昨年との比較でも50-70%と少ない、とされていました。
そして、実際の飛散量は以下の通りです。2018shi[1]
(北海道立衛生研究所のHPより)
 
予想は外れて、ゴールデンウィーク期間をピークに例年以上の飛散量です。ピークは過ぎましたが、依然として例年以上に飛散しています。
シラカバ花粉症の診断がついている方でも、昨年は無症状で過ごせたのに、今年は鼻水・鼻づまり・くしゃみがひどい人が多いのは、これが原因と思われます。
 
さらに、例年6月から飛散が始まる「イネ科の牧草系の雑草」である「カモガヤ花粉」も飛散が始まっています。
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(北海道立衛生研究所のHPより)
 
グラフを見ると、「まだそんなに飛んでいないのでは?」と思われるかもしれませんが、「カモガヤ花粉症」の患者さんが、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみ で多数来院しています。
グラフの通り、札幌ではそれほど飛散していないのかもしれませんが、日高方面の牧草地帯では多数飛散しているのかもしれません。実際、来院者のご住所を調べてみると、平取町、日高町の方が多く、苫小牧とその周辺では少ない、という傾向がありました。
牧場関係のお仕事をされている方、周辺に牧草がたくさんある地域にお住まいの方、などは、既に「カモガヤ花粉症」を発症しているようですので、風邪と思い込まずに、早めに耳鼻咽喉科専門医の受診をした方が良いのかもしれません。 
 
以上のように、「自分が花粉症を持っているか」を知っておくことは重要で、正しい治療を受ける近道になります。
一度調べてしまえば、今後毎年の鼻症状について、自己診断することも可能になるので、「花粉症の時期が来たので、今年も来院しました。いつものお薬をお願いします」とおっしゃって来院する患者さんもたくさんいます。
 
花粉症のときには、気道の過敏性が亢進して咳も出やすく、「アトピー咳嗽」と言われるような一度始まるとなかなか止まらない咳を合併することもあります。そして、鼻水が多くなると後鼻漏も増えるため、鼻汁による咳を伴って、さらに症状は悪化することがあります。
「鼻かぜではなく花粉症かも」、「鼻とのどの風邪ではなく、花粉症に伴う咳かも」と考えてみても良いかもしれません。
咳がなかなか止まらない場合には、耳鼻咽喉科専門医でアレルギーの検査を受けていただき、アレルギーの治療を開始することをお勧めすることがあります。

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また、小児の場合には、鼻水の出る状態が長く続くと「中耳炎」を合併することが多いため、しっかりと耳垢を取り除いて鼓膜を確認することが重要です。中耳炎は軽症であれば薬を飲むことで改善しますが、重症化してしまうと、激しい耳痛、発熱、耳だれが出ることがあり、場合によっては鼓膜切開が必要になることがあります。
小さな子供は、耳の不快感があっても保護者に訴えないでいることが多いので、「鼻水が出ているし、もしかしたら中耳炎になっていないかな?」と考えてあげることが大事です。
この時期は、「この春から保育園に通い始めたら鼻水が止まらなくなった」「鼻水が出ながら幼稚園に通っていたけれど、『発熱しているので』とお迎えに来るよう言われた」という相談がたくさんあります。中耳炎を合併していることが少なくありませんので、耳鼻咽喉科専門医を受診することをお勧めいたします。

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 そして、小児、成人を問わず、「アレルギー症状」と決めつけずに「副鼻腔炎」の有無を調べることも重要です。小児の場合、アレルギー性鼻炎患者の約50%が副鼻腔に異常があり、逆に副鼻腔炎患者の25~75%にアレルギー性鼻炎が認められると言われています。
2つの病気を合併している場合には、両方の治療が必要なことが少なくありません。
中耳炎を難治化させる原因としても知られており、長引く中耳炎では副鼻腔炎の有無の確認が重要です。

この時期の「鼻水、鼻づまり、くしゃみ・目のかゆみ」などの症状については、耳鼻咽喉科専門医の受診をお勧めいたします。

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夏風邪の「ヘルパンギーナ」と「手足口病」が流行しています。

こんにちは。
たくゆう耳鼻咽喉科クリニックの院長 黒田です。


ようやく夏らしい天気になってきたと思っていたら、猛暑が続いています。
子供達は運動会も終わり、もうすぐ始める夏休みを楽しみにしているでしょうか。
大人も、そろそろお盆の帰省の予定などを考えていらっしゃるのではないでしょうか。

苫小牧では、もうすぐ「樽前山神社例大祭」「第62回港まつり」が始まります。

晴天のもとで、花火もお祭りも楽しみたいですね。
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さて、6月から始まっていたイネ科の雑草の花粉症ですが、まだまだ続いています。
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                         (北海道立衛生研究所のHPより)
 
イネ科の雑草は、夏にたくさんの花粉を飛ばすので、アレルギーの3症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ)に加えて、目のかゆみを感じる場合も多いです。
当院で検査を受けて、「カモガヤ」のアレルギーと判明済みの皆さんは、自分の症状がアレルギーだと分かっていたので、早目に治療を開始して、ほとんど症状を感じずに快適に過ごせたのではないかと思います。
「カモガヤ」をはじめとしたイネ科の雑草は、7月いっぱい飛散して、8月は一旦収束します。そして9月に入ると、もう一度飛散しますので、秋にも症状が出るかもしれません。初夏(6~7月)と秋(9月)にはイネ科の雑草アレルギーの可能性がある、と覚えておくと良いでしょう。春と秋の季節の変わり目には、いつも鼻の調子が悪くなる、という方は、実は「イネ科の雑草アレルギー」かもしれません。
 
下の写真は、イネ科の「カモガヤ」です。牧草地帯で無くても、住宅街の道端や公園に、沢山生えていると思います。自宅や職場の周りにたくさん生えている場合には、注意が必要です。雑草処理のために一気に刈り取った後には、花粉も一気に飛散します。
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この時期に鼻症状や目のかゆみが出るようであれば、一度耳鼻咽喉科専門医に相談の上、アレルギーの検査をして、しっかりと診断病名をつけて治療したほうが良いかもしれません。
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さて、感染症の状況ですが、昨年から季節を問わずに一年中「溶連菌感染症」に伴う扁桃炎や咽頭炎が続いています。のどの痛みと発熱のある方は、単なる風邪では無くて溶連菌感染症の可能性があります。「市販薬や風邪薬で様子を見ても治らない」という方は、耳鼻咽喉科専門医の受診をお勧め致します。
 
さらに、夏の到来とともに、今度は「夏風邪」が流行っており、当院でも受診者が増えています。
夏風邪と言えば、「ヘルパンギーナ」「手足口病」「咽頭結膜熱」の3つが有名です。ヘルパンギーナは、主にコクサッキーA型ウイルスによる感染症ですが、その他のウイルスが原因となることがあります。麻疹や風疹、水痘とは異なり、一度罹患しても何度でも繰り返することがあります(原因ウイルスが複数存在するために、終生免疫を得るのが難しいからです)。多くは「38-39℃の高熱」と「のどの痛み」が主な症状です。
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ヘルパンギーナについて、少し解説させていただきます。
下の写真の様に口蓋垂(のどちんこ)の周りに水疱(すいほう)を認めることで、診断されます。
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 大人や、子供でもしっかり口を開けてくれる場合には、このようにはっきりと確認できます。
 
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これは別の患者さんです。扁桃炎だと思うとのことで来院されましたが、扁桃には異常が無く、ヘルパンギーナの診断となりました。扁桃に近い場所の病変なので、自覚症状だけでは区別が難しいですね。

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乳児だと、十分に症状を訴えることも出来ず、口を開けてくれないので、分かりにくいこともあります。しかし、しっかり開口すると、口蓋垂の周りに粘膜疹があるのが分かります。

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幼児だと、のどが痛いと訴えてくれる場合もありますが、発熱と食欲低下のみで症状がはっきりしないこともあります。
 
「手足口病」でも同様の所見が見られますが、手足口病ではその名の通りに手や足などの全身に皮疹が出ることが特徴です。「ヘルパンギーナ」と診断されても、後になってから手足に皮疹が出てきたために、「手足口病」と診断名が変わることも少なくありません。
 
どちらも抗生物質は無効で、特効薬というのはありませんが、高熱があれば座薬や内服薬などでの解熱を行い、十分に水分を摂取して、安静にすることが大事です。発熱は3日程度で落ち着くことが多いので、心配はありません。また、感染を防ぐためには、手洗いやうがいをこまめに行うことが重要です。

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学校保健安全法で定められている学校感染症には3種類あり、出席停止の決まりがあります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
○第1種(エボラ出血熱や、鳥インフルエンザ、など) 
 第一種の感染症にかかった者は、治癒するまで。

○第2種(インフルエンザ、流行性耳下腺炎、麻疹、風疹、水痘、など)
 それぞれ定められた出席停止期間。ただし、病状により、学校医その他の医師において感染の恐れがないと認めたときはその限りではない。

○第3種(溶連菌感染症、手足口病、ヘルパンギーナ、マイコプラズマ感染症、など)
 病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第3種に属する「溶連菌感染症」「手足口病」「ヘルパンギーナ」の場合、「感染の恐れが無い」と認められるのは、いつなのでしょう?

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「溶連菌感染症」は、適切な抗生剤での治療開始後24時間が経過した時点ですので、医療機関を受診した当日と翌日は、登園・登校を控えましょう。
 
「手足口病」「ヘルパンギーナ」の場合、適切な治療と行っても特効薬が無く、ウイルス感染症が自然治癒するのを待つだけです。一つの判断基準として、「発熱や咽頭・口腔の水疱を伴う急性期は出席停止、治癒期は全身状態が改善すれば登校可」というものが示されています。但し、原因となっているウイルスは、1ヶ月近く感染力を持っていることもありますが、現実的にはこれらの病気で1ヶ月も休むことはあり得ません。ウイルスの感染力は持っているけれども、全身状態が良好なので出席している子供がいて、園内・学校内で感染が広がってしまうのが実情です。
 
保育所や幼稚園で流行することが多く、罹患した子供が家庭内でさらに感染を広げることも多いです。診断を受けた場合には、マスクをつけて、更なる感染を広げない様にしましょう。特に小さな乳幼児が家庭にいる場合には、お兄ちゃん・お姉ちゃんから感染をもらわない様に、保護者の方が注意することが必要です(風邪症状のある子供には、手洗い・うがい・マスク装用をさせましょう)。

これらの夏風邪は、大人ではあまり見られませんが、罹患した子供さんのいる家庭では、免疫力の低下した大人にうつることもあります。ヘルパンギーナの子供さんを看病したお父さん・お母さんや、ご高齢の方、免疫力を低下させる薬剤(ステロイドなど)を内服中の方は、要注意ですね。
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夏風邪症状でお困りの際にも、専門的知識をもった耳鼻咽喉科専門医へご相談ください。
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【平成29年の春の花粉症の情報です】

こんにちは。
たくゆう耳鼻咽喉科クリニックの黒田です。
 
気温が上がり、雪解けも進んで、春の到来を感じるようになってきました。卒業や進学、転居や転職など、身の回りの環境も変わることが多く、何かと体調を崩しやすい季節です。
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A型インフルエンザはいまだに収束しておらず、一方で、春先に見られるB型インフルエンザの患者さんもいません。溶連菌による発熱・咽頭痛も、通常は冬場には収束するのですが、現在も尚、途切れなく流行しています。
 
  
さて、当院で春の花粉症と診断されている患者さんが、少しずつ来院されるようになっています。
「鼻水」「鼻づまり」「くしゃみ」「鼻のかゆみ」「目のかゆみ」が主な症状です。
苫小牧の花粉症の状況について、簡単にご説明させて頂きます。
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花粉の飛散情報は、道立衛生研究所のHPを見ると、札幌の状況が確認できます。残念ながら、苫小牧の情報は無いので、札幌の情報を参考にするしかありません。
例年、3月には花粉の飛散が始まるのですが、3/24現在、既に「ハンノキ」の花粉飛散が始まっております。
4月からの「シラカンバ」はまだ飛散していないのですが、花粉症の患者さんは、花粉飛散開始の情報よりも早く、鼻や目の症状が出ることがあります。花粉症の方は、周囲に飛散している極微量の花粉や粉塵などで反応して、鼻や目の症状が出ているのかもしれません。

それでは、春の花粉症について、少し詳しく解説させて頂きます。
 
まず、3月下旬から飛散が始まる「ハンノキ」の花粉症です。既にピークを迎えているようで、一気に飛散量が増えています。既に検査を受けて、「ハンノキ花粉症」と分かっている方は、この時期に発症することをご存知なので、既に治療を開始されています。
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    (道立衛生研究所のHPより)



そして、これに続いて4月中旬から始まる「シラカバ」の花粉症ですが、さすがにまだ飛散はしていません。
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但し、今年は例年に比べて、飛散量が少ないという予想が多いです。
以下は日本気象協会のHPからの引用です。
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(日本気象協会のHPより)
昨シーズンと比較して、50-70%と少なめが予想されています。

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ここ数年の平均と比較すると、飛散量は50%以下と、非常に少ないと予想されています。


あくまで予想ですので、実際の飛散量がどのようになるかは不明ですが、今年は花粉症の症状があまり出ないという方がいらっしゃるかもしれません。
また、前述の通り、花粉に飛散量の多い少ないに関係なく、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが出る方もいますので、例年通りの治療が必要な方も相当にいると思います。
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以前は、薬の効果が出てくるまでに日数がかかるため、花粉症のシーズンが始まる前から内服治療を開始することを推奨されていた時代がありました。
しかし、現在は即効性に優れた薬がたくさん開発されたため、発症後に内服し始めても、十分に効果が得られるようになりました。
いずれにしても、自分の体の特徴・体質を知っておくことが大事です。
「この時期のこの症状は、花粉症だな」と理解しておくと、わずかな鼻症状であっても、何が原因なのかを何となく予想できますので、早目に正しい治療を受けられます。花粉症の時期は、風邪と思い込まずに、アレルギーの可能性を考えて治療することが重要です。
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花粉症のときには、気道の過敏性が亢進して咳も出やすく、「アトピー咳嗽」と言われるような一度始まるとなかなか止まらない咳を合併することもあります。そして、鼻水が多くなると後鼻漏も増えるため、鼻汁による咳を伴って、さらに症状は悪化することがあります。
「後鼻漏(こうびろう)による咳」については、過去のブログをご参照下さい。
bnr-blog ←こちらをクリックしてみて下さい。

「鼻かぜでは無く花粉症かも」、「のどの風邪ではなく、花粉症に伴う咳かも」と考えてみても良いかもしれません。
咳がなかなか止まらない場合には、耳鼻咽喉科専門医でアレルギーの検査を受けていただき、結果によっては、咳止めを処方してもらうのではなく、アレルギーの治療を開始することで、大きく改善することもあります。
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また、小児の場合には、鼻水が出る状態が長く続くと「中耳炎」を合併することが多いため、しっかりと耳垢を取り除いて鼓膜を確認することが重要です。
中耳炎は軽症であれば薬を飲むことで改善しますが、重症化してしまうと、激しい耳痛、発熱、耳だれが出ることがあり、場合によっては鼓膜切開が必要になることがあります。
小さな子供は、耳の不快感があっても保護者に訴えることが出来ず、理由が無いのに機嫌が悪かったり、風邪薬を飲んでも熱がなかなか下がらない、といった兆候しか無いこともあります。
「鼻水が出ているし、もしかしたら中耳炎になっていないかな?」と考えてあげることが大事です。

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そして、小児、成人を問わず、「鼻水が続いているのでアレルギー」と決めつけずに副鼻腔炎の有無を調べることも重要です。
小児の場合、アレルギー性鼻炎患者の約50%が副鼻腔に異常があり、逆に副鼻腔炎患者の25~75%にアレルギー性鼻炎が認められると言われています。
色のついた粘り気のある鼻水が出たり、頬や眉間、目と目の間(鼻のつけ根辺り)に痛みや重苦しさがあれば、副鼻腔炎の可能性が高いと言えます。

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また、アレルギー性鼻炎が疑われる際には、鼻炎の薬でその場しのぎをするのでは無く、しっかりと検査をして確定診断をつけることが重要です。
当院では、花粉症を含めた成人用アレルギー検査の他に、小児の就学前アレルギー検査や、アナフィラキシーの危険がある食物アレルギーに対する「エピペン®」の処方も受け付けておりますので、遠慮なく御相談ください。
現在、小学校入学前のアレルギー検査を希望する方が、たくさん来院されています。小学校へ提出する書類への記載も行っておりますので、遠慮無く御相談下さい。入学前のアレルギー検査は、3月までに行うことをお勧めいたします。
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【耳鼻科の感染症の出席停止日数】

こんにちは。
院長の黒田です。
 
昨年お伝えいたしましたが、やはり今シーズンは『A型のインフルエンザ』が流行しました。
2月末には一旦収束の気配を見せていたのですが、3月に入って、再び流行の兆しを見せています。
幼稚園や小学校では学級閉鎖になっている所もあり、職場内で流行している所もあるようです。

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・『インフルエンザ』は、これからの時期、「A型」から「B型」に流行が変わる可能性があり、まだまだ注意が必要です。
・『流行性耳下腺炎(おたふく風邪)』も相変わらず罹患者がいる印象です。こちらは、大人・子供を問わずに、受診される方がいらっしゃいます。 
・『溶連菌による咽頭炎』も、幼稚園児・小学生を中心に、依然として流行しています。
 
医療機関を受診して、検査を受けて、病名診断がついて、いよいよ治療が始まります。
では、どれぐらいの日数、自宅療養が必要なのでしょう?
幼稚園児は? 小学校は? 中学生は? 高校生は? 大人は?
 
実は、今回紹介する3つの疾患は、出席停止・出勤停止に必要な日数が異なります。
これらについて、簡単に説明をさせて頂きます。

 
(1) 大人
 
【インフルエンザ】、【流行性耳下腺炎(おたふく風邪)】、【溶連菌感染症】に共通することですが、大人に関しては、法律での決まりはありません。
極端なことを言うと、インフルエンザと診断されたにもかかわらず出勤したからといって、法律上の罰則はありません。

が、しかし、、、
常識的に考えて、罹患(りかん)したままで出勤すれば、職場全体に感染症が蔓延し、業務に支障が出てしまいます。よって、他人にインフルエンザをうつさないための対策が必要になります。薬を飲んで、マスクをしたからといって、他人への感染を完全に防ぐことはできません。やはり、マナーとして出勤停止が好ましいと思われます。
 
これらの感染症の可能性があると判断された場合には、まずは職場の上司に連絡して判断を仰ぐのが良いでしょう。その上で、職場で定められている「就業規則」に従って、出勤停止をするのが良いでしょう
 
「就業規則」に定めがなく、会社でも判断ができないと言われた場合には、どうしたら良いのでしょう?。その場合は、以下に示す、子供に対する出席停止期間を参考に、職場と相談するのが良いと思います

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(2) 子供
 
今度は、子供の「登園・登校停止」の期間について、ご説明いたします。
ここで言う子供とは、何歳までのことを言うのでしょう?
出席停止日数に関しては、「学校保健安全法」で規定されています。
この法律を見てみると、、、

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
学校保健安全法第2条  この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和 22 年法律第 26 号)第 1 条に規定する学校をいう。この法律において「児童生徒等」とは、学校に在学する幼児、児童、生徒又は学生をいう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
学校教育法第1条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

となっており、
幼稚園児~高専・大学生までは、学校保健安全法に従って出席停止をしなければなりません。
保育園児は規定されていませんが、幼稚園児に準じて考えて良いと思います。
 

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それでは、それぞれの疾患別にご説明を進めていきます。


① 【インフルエンザ】

出席停止日数は、以前に、当院のブログで詳しく解説をしております。
ご参照頂けると幸いです(お勧めです)。
https://taku-jibi.jp/blog/2013/11/

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保育園・幼稚園発症した後5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過するまで
小学校以上  :発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで

※ 発熱してインフルエンザと診断されて、1日ですぐに解熱して元気になった場合でも、発症後5日を経過しなければ、出席できません。
 

 

② 【流行性耳下腺炎(おたふく風邪)】

耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで」です。
幼児から大学生まで、年齢は関係ありません。
 
かつては、「耳下腺の腫脹が無くなるまで」でしたが、インフルエンザと同様に、平成24年4月に変更となりました「腫れがひいてから、、、」ではなく、「腫れが始まってから、、、」ですので、間違えないようにして下さい
 
※ 発症後5日程度で感染力が弱まりますが、腫れが長期間にわたる場合もあるので、5日経過しても、全身状態が良好になるまで(発熱や腫れがなくなるまで)は、感染の可能性があるので、出席停止となります。
※ 耳下腺(耳の下)の腫れが引いても、顎下腺(顎の下)が腫れていれば、全身状態が良好とは言えませんので、出席停止です。

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③ 【溶連菌感染症】

病気の特徴については、以前にこちらで詳しく解説しています。
「38度近い高い熱」、「咽頭痛」、などがありましたら、非常に怪しいです。
以下をご参照頂けると幸いです(お勧めです)。
https://www.facebook.com/takuyujibiinnkouka/posts/1176239185758728   
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溶連菌感染症は、インフルエンザや、流行性耳下腺のような出席停止を義務づける法律はありません。これは、手足口病や、ヘルパンギーナと同じです(以下をご参照下さい)。
https://taku-jibi.jp/blog/518/
 

学校保健安全法で定められている学校感染症には、以下の3種類があります。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
○第1種(エボラ出血熱や、鳥インフルエンザ、など) 
 第一種の感染症にかかつた者については、治癒するまで。

○第2種(インフルエンザ、流行性耳下腺炎、麻疹、風疹、水痘、など)
 それぞれ定められた出席停止期間。ただし、病状により、学校医その他の医師において感染の恐れがないと認めたときはその限りではない。

○第3種(溶連菌感染症、手足口病、ヘルパンギーナ、マイコプラズマ感染症、など)
 病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

では、第3種に属する「溶連菌感染症」の場合、「感染の恐れが無い」と認められるのは、いつなのでしょう?
 
溶連菌の感染力は、適正な治療を行っていない場合には、長く持続して、くしゃみや咳などで飛沫感染を起こします。しかし、適正な抗生剤治療を開始して24時間を経過すると、感染力はかなり低下します。よって現実的には、「適正な抗生剤治療開始後24時間を経て、かつ全身状態が良好であれば登校可能」となることが多いです。

つまり、無症状であっても、医療機関受診当日と、翌日は登校を控える必要があります
※ 「全身状態が良好」とは、発熱も、咽頭痛も、咳も無く、無症状のことを指します。
※ もちろん、全身状態が良好であっても、担当医から指示された期間は、抗生剤を飲み続けなければなりません。


以上です。
どの疾患も、しっかりと休むべき期間を守って、そしてまた元気になってから、登園・登校するようにしましょう。
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インフルエンザ、耳下腺炎、溶連菌感染症などは、専門知識をもった耳鼻咽喉科専門医の受診をお勧めいたします。
    medical_kaigyoui

早くもインフルエンザの患者さんが増えています。

院長の黒田です。
秋を通り越して一気に気温が下がり、札幌をはじめとした道内各地では早くも積雪が見られます。
苫小牧でも降雪の予報が出始めており、暖房をつけているご家庭も多いのではないでしょうか。

さて、前回のブログでは、
・今シーズンのインフルエンザワクチンの状況(経鼻ワクチンが推奨されていない。チメロサール(保存料の水銀)の入っていないワクチンが製造されない)
・ワクチン不足の可能性
について、ご説明いたしました。
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今回は、「今年のインフルエンザの流行は、早く来るかもしれない」というお話です。

沖縄県では、インフルエンザの流行が例年に無い早い立ち上がりとなっています。
10月初めの時点で、那覇市の定点当たり患者数が11.17人と、注意報レベルである10人を超えています。県全体でも、過去8シーズンで2番目に高い数字です。
検出されている株は、全てA型の香港型(AH3型)だったようです。AH3型は、他の株に比べて重症化しやすいことで知られています。
また、感染者の年齢を見ると、10歳代が107人で最も多く、0-9歳が72人、60歳以降が63人だったそうです。
(以上、「日経メディカル」記事より一部引用)
 
まだ、流行期の始まりの段階に過ぎず、確定的ではありませんが、以下の傾向が予想されます。
1.例年と比べて、流行の立ち上がりが早い
2.重症化しやすいAH3型が先行している
3.10歳以下で流行
 
実際、苫小牧保健所管内でも、続々と感染者の報告が出ています。
今週も新たに27名の新規感染の報告があり、全てA型インフルエンザです。
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当院では、10/24からインフルエンザワクチンの予防接種を開始していますが、例年になく早い段階で接種を済ませている方が多いです。
そして、11月以降の接種を希望の方も、続々と予約が入っている状況です。
昨シーズンは、年明けまで感染者がほとんどいなかったせいもあり、年内に予防接種を受ける方も少なかった印象があります。
しかし、今シーズンは、
・上記の早期流行と重症化の予想
・既に苫小牧保健所管内でA型感染者が続々と増えている事実
・ワクチンの供給が足りなくなる可能性がある(院長ブログの前号を参照)
ことを考えて、早めの接種が良いかもしれません。
 
当クリニックでの予防接種に関して、ご不明な点があったり、予約をご希望の方は、遠慮無くお電話で御相談ください。
     medical_kaigyoui