【耳鼻科の感染症の出席停止日数】

こんにちは。
院長の黒田です。
 
昨年お伝えいたしましたが、やはり今シーズンは『A型のインフルエンザ』が流行しました。
2月末には一旦収束の気配を見せていたのですが、3月に入って、再び流行の兆しを見せています。
幼稚園や小学校では学級閉鎖になっている所もあり、職場内で流行している所もあるようです。

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・『インフルエンザ』は、これからの時期、「A型」から「B型」に流行が変わる可能性があり、まだまだ注意が必要です。
・『流行性耳下腺炎(おたふく風邪)』も相変わらず罹患者がいる印象です。こちらは、大人・子供を問わずに、受診される方がいらっしゃいます。 
・『溶連菌による咽頭炎』も、幼稚園児・小学生を中心に、依然として流行しています。
 
医療機関を受診して、検査を受けて、病名診断がついて、いよいよ治療が始まります。
では、どれぐらいの日数、自宅療養が必要なのでしょう?
幼稚園児は? 小学校は? 中学生は? 高校生は? 大人は?
 
実は、今回紹介する3つの疾患は、出席停止・出勤停止に必要な日数が異なります。
これらについて、簡単に説明をさせて頂きます。

 
(1) 大人
 
【インフルエンザ】、【流行性耳下腺炎(おたふく風邪)】、【溶連菌感染症】に共通することですが、大人に関しては、法律での決まりはありません。
極端なことを言うと、インフルエンザと診断されたにもかかわらず出勤したからといって、法律上の罰則はありません。

が、しかし、、、
常識的に考えて、罹患(りかん)したままで出勤すれば、職場全体に感染症が蔓延し、業務に支障が出てしまいます。よって、他人にインフルエンザをうつさないための対策が必要になります。薬を飲んで、マスクをしたからといって、他人への感染を完全に防ぐことはできません。やはり、マナーとして出勤停止が好ましいと思われます。
 
これらの感染症の可能性があると判断された場合には、まずは職場の上司に連絡して判断を仰ぐのが良いでしょう。その上で、職場で定められている「就業規則」に従って、出勤停止をするのが良いでしょう
 
「就業規則」に定めがなく、会社でも判断ができないと言われた場合には、どうしたら良いのでしょう?。その場合は、以下に示す、子供に対する出席停止期間を参考に、職場と相談するのが良いと思います

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(2) 子供
 
今度は、子供の「登園・登校停止」の期間について、ご説明いたします。
ここで言う子供とは、何歳までのことを言うのでしょう?
出席停止日数に関しては、「学校保健安全法」で規定されています。
この法律を見てみると、、、

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
学校保健安全法第2条  この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和 22 年法律第 26 号)第 1 条に規定する学校をいう。この法律において「児童生徒等」とは、学校に在学する幼児、児童、生徒又は学生をいう。
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学校教育法第1条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする
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となっており、
幼稚園児~高専・大学生までは、学校保健安全法に従って出席停止をしなければなりません。
保育園児は規定されていませんが、幼稚園児に準じて考えて良いと思います。
 

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それでは、それぞれの疾患別にご説明を進めていきます。


① 【インフルエンザ】

出席停止日数は、以前に、当院のブログで詳しく解説をしております。
ご参照頂けると幸いです(お勧めです)。
https://taku-jibi.jp/blog/2013/11/

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保育園・幼稚園発症した後5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過するまで
小学校以上  :発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで

※ 発熱してインフルエンザと診断されて、1日ですぐに解熱して元気になった場合でも、発症後5日を経過しなければ、出席できません。
 

 

② 【流行性耳下腺炎(おたふく風邪)】

耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで」です。
幼児から大学生まで、年齢は関係ありません。
 
かつては、「耳下腺の腫脹が無くなるまで」でしたが、インフルエンザと同様に、平成24年4月に変更となりました「腫れがひいてから、、、」ではなく、「腫れが始まってから、、、」ですので、間違えないようにして下さい
 
※ 発症後5日程度で感染力が弱まりますが、腫れが長期間にわたる場合もあるので、5日経過しても、全身状態が良好になるまで(発熱や腫れがなくなるまで)は、感染の可能性があるので、出席停止となります。
※ 耳下腺(耳の下)の腫れが引いても、顎下腺(顎の下)が腫れていれば、全身状態が良好とは言えませんので、出席停止です。

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③ 【溶連菌感染症】

病気の特徴については、以前にこちらで詳しく解説しています。
「38度近い高い熱」、「咽頭痛」、などがありましたら、非常に怪しいです。
以下をご参照頂けると幸いです(お勧めです)。
https://www.facebook.com/takuyujibiinnkouka/posts/1176239185758728   
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溶連菌感染症は、インフルエンザや、流行性耳下腺のような出席停止を義務づける法律はありません。これは、手足口病や、ヘルパンギーナと同じです(以下をご参照下さい)。
https://taku-jibi.jp/blog/518/
 

学校保健安全法で定められている学校感染症には、以下の3種類があります。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
○第1種(エボラ出血熱や、鳥インフルエンザ、など) 
 第一種の感染症にかかつた者については、治癒するまで。

○第2種(インフルエンザ、流行性耳下腺炎、麻疹、風疹、水痘、など)
 それぞれ定められた出席停止期間。ただし、病状により、学校医その他の医師において感染の恐れがないと認めたときはその限りではない。

○第3種(溶連菌感染症、手足口病、ヘルパンギーナ、マイコプラズマ感染症、など)
 病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

では、第3種に属する「溶連菌感染症」の場合、「感染の恐れが無い」と認められるのは、いつなのでしょう?
 
溶連菌の感染力は、適正な治療を行っていない場合には、長く持続して、くしゃみや咳などで飛沫感染を起こします。しかし、適正な抗生剤治療を開始して24時間を経過すると、感染力はかなり低下します。よって現実的には、「適正な抗生剤治療開始後24時間を経て、かつ全身状態が良好であれば登校可能」となることが多いです。

つまり、無症状であっても、医療機関受診当日と、翌日は登校を控える必要があります
※ 「全身状態が良好」とは、発熱も、咽頭痛も、咳も無く、無症状のことを指します。
※ もちろん、全身状態が良好であっても、担当医から指示された期間は、抗生剤を飲み続けなければなりません。


以上です。
どの疾患も、しっかりと休むべき期間を守って、そしてまた元気になってから、登園・登校するようにしましょう。
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インフルエンザ、耳下腺炎、溶連菌感染症などは、専門知識をもった耳鼻咽喉科専門医の受診をお勧めいたします。
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