月別アーカイブ: 2013年10月

インフルエンザ予防接種の続報です。

こんにちは。
院長の黒田です。

先日ご案内していたインフルエンザの予防接種ですが、以下の通り決定いたしました。インフルエンザ予防接種に関する詳しい内容については、以前のブログにてご説明しておりますので、よろしければ再度ご参照ください。

(1) チメロサール(水銀を含有した保存料)が入っていない、1人で使い切り型のワクチンは、流通数自体が少なくて在庫数に限りがありますので、無くなり次第終了です。小さなお子さんや、授乳中の方、妊婦さん(通院中の産婦人科で接種の許可すみ)、水銀の副作用が心配な方には、特にお勧めいたします。

水銀なしをご希望の方は、
・1回接種の方は、入荷次第早い者順で終了
(予約確保は原則として行っていませんが、早期の接種希望の方はお電話で
お問い合わせください)。
・2回接種の方(13歳未満)は、1回目を当院で行った場合に限り4週後まで
確保の予約を受け付けます。

(2) 小児は、誤接種を防ぐために母子手帳を持参して下さい。

(3) 下記に該当する方は、公費助成により、窓口負担1,050円です。
証明書や手帳を持参して下さい。
・60-64歳の苫小牧市民で、一定の障害者はそれを証明する身体障害手帳。※1
・65歳以上の苫小牧市民は、年齢を確認するための運転免許証や保険証。

※1 心臓・腎臓・呼吸器の機能またはヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に
障害を有する方で、身体障害者等級が単独で1級の方。
※1 予防接種を希望する方は、かかりつけの医師とよく相談のうえ、接種を受ける
か否か判断してください。

(4) 上記(3)該当者で、かつ生活保護世帯は無料です。保護手帳を持参ください。

(5) 接種開始日は、10/21(月)です。
10月中は、完全予約制とさせていただきます。
当院診察時間にお電話にてお問い合わせをお願いいたします。
(TEL) 0144-53-5800

11月以降ですが、予約の方を優先にしたいと考えております。完全予約制では
ありませんが、確実に接種を受けていただくためには、在庫確認のために電話での
お問い合わせと予約をお勧めいたします(在庫がなくなり次第終了いたします)。

チメロサールの入っていない、1人で使いきりのタイプは、今のところ入荷日が
決まっておりません。入荷日につきましては、お電話にてお問い合わせをお願い
いたします。

以前のブログでもご説明いたしましたが、遅くとも12月上旬までには接種を済ませ
ておくことをお勧めいたします。
2回接種の方は、1回目を10月下旬~11月上旬に、2回目をその3~4週後に
受けることをお勧めいたします。

(6) 価格と回数

【生後6か月以上 1歳未満】

1回2000円

2週間以上あけて、2回接種が必要です(3~4週間後をお勧めします)。
母子手帳をご提出ください。

【1歳以上 3歳未満】
→水銀の添加物を含まず、アレルギーなどの副作用が少ないタイプも選べます。
但し、数に限りがありますので、在庫がなくなり次第で終了になります

1回2000円
1回3000円(水銀の保存料なし。1人で使い切りタイプ)

2週間以上あけて、2回接種が必要です(3~4週間後をお勧めします)。
母子手帳をご提出ください。

【3歳以上 13歳未満】
→水銀の添加物を含まず、アレルギーの副作用が少ないタイプも選べます。
製造数が非常に少ないです。在庫がなくなり次第、終了します

1回2500円
1回3300円(水銀の保存料なし。1人で使い切りタイプ)

2週間以上あけて、2回接種が必要です(3~4週間後をお勧めします)。
小児は母子手帳をご提出ください。

【13歳以上】
→水銀の添加物を含まず、アレルギーの副作用が少ないタイプも選べます。
製造数が非常に少ないです。在庫がなくなり次第、終了します

1回2500円
1回3300円(水銀の保存料なし。1人で使い切りタイプ)

原則として1回接種です。※2

※2 一般に、13歳以上では1回接種で十分な免疫が得られるとされています。
但し、13歳以上でも基礎疾患(慢性疾患)のある方で、著しく免疫が
抑制されている状態にあると考えられる方などは、医師の判断で2回接種
となる場合があります。

 ワクチンは数に限りがある貴重なお薬で、また瓶の製剤の場合、一度開封してしまうと保存することができません。大事なワクチンが無駄にならないよう、窓口で予約していただくことをお勧めいたします(予約がなければ接種が受けられないということではありませんが、確実に接種を受けていただけるためには予約をお勧めいたします)。

 また、体調を崩したり、都合が悪くなって予約をキャンセルされる際には、早めにご連絡いただけますと、貴重なワクチンが無駄にならずに済みます。御協力のほどを宜しくお願いいたします。

 その他、インフルエンザの予防接種に関するお問い合わせは、遠慮なく、当院の診察時間にお電話でお願いいたします。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
(厚生労働省のホームページ)

 

長引く夜間に強い咳でお困りの方へ

こんにちは。
たくゆう耳鼻咽喉科クリニックの黒田です。

本日は、長びく夜間に強い咳のお話です。

・熱も無いし、のども痛くないけれども、咳だけがなかなか治らない。
・昼間は何ともないけれど、夜になると咳がひどくなる。
・病院から咳止めをもらっているし、胸のレントゲンも聴診音も異常がないのに咳が続く。

そんな経験はないでしょうか。

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咳がある時には咳止めの薬を長く飲んでいれば、いずれは治るのでしょうか。
私はそうは思いません。
長びく咳に、脳へ直接作用する中枢性咳止めを漫然と使用することは、症状が良くならないだけではなく、原因が分からなくなるため、場合によってはやめた方が良いかもしれません。
(麻薬の「リン酸コデイン」、 非麻薬の「アストミン」、「メジコン」、「アスベリン」など)

咳の原因にも色々な種類があり、その原因に応じた治療をしなければ、咳止めを内服しても症状の改善は期待できません。一つの例として、以前に「後鼻漏による咳」をご紹介いたしました。いくら咳止めを使用しても、鼻の治療をしなければ治らない咳です(詳細については、過去の記事をご参照ください)。

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胸の検査を受けても異常が無く、のどに炎症も無い、後鼻漏も無いのに咳が続く場合は、どのように考えたらよいのでしょうか。

長びく咳の原因疾患には以下のようなものが考えられます。

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上記の4. 5. 6.が、鼻炎や副鼻腔炎が関連した咳です。
今回は頻度の高い、2.「咳喘息」と3.「アトピー咳嗽」についてご説明いたします。

日本における慢性咳嗽(3週間以上の咳)の3大原因は、
咳喘息
アトピー咳嗽
副鼻腔気管支症候群
です。

上記とよく似た言葉で 『気管支喘息』 がありますが、こちらは、
1)    気管支の粘膜が腫れて、その周囲の筋肉も収縮して、空気の通り道が狭くなる病気。
2)    突然に「ヒューヒュー」「ピーピー」「ゼイゼイ」とする息苦しさや咳が出る病気。
(これを「喘鳴(ぜんめい・ぜいめい)」と言います)
3)    薬で改善することが多いですが、重症の場合には入院が必要になることがあります。
4)    「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」と喘鳴があって苦しい場合には、小児科や内科を急いで受診されることを強くお勧めいたします。

今回は、「咳喘息」と「アトピー咳嗽」の症状や治療について、分かりやすくご説明していきたいと思います。

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【咳喘息】

 喘鳴や呼吸困難を伴わず、症状は乾いた咳のみです。夜間(特に就寝時、夜中から早朝、起床時など)に多く、温度差のある空気を吸い込んだ時にも生じます。

 発生原因はまだ明らかではありませんが、気管支の周りの筋肉に軽度の収縮が起こり、筋肉内の神経を通じて脳の咳中枢が刺激され、その結果として咳が出ると考えられています。したがって、気管支の筋肉の収縮を改善する気管支拡張剤が有効です。

 咳喘息の簡易診断基準ですが、
(1) 喘鳴を伴わない咳が、3週間以上持続。病院で聴診をしても喘鳴がない。
(2) 気管支拡張剤が有効
です。
つまり、気管支喘息とは診断されなくても、気管支拡張薬がよく効くのです。

 治療ですが、
軽症: 気管支拡張薬のみ、又はロイコトリエン拮抗薬の併用で咳嗽が消失。
中等症: 吸入ステロイド薬の併用で咳嗽が消失。
重症: 経口ステロイド薬の併用で咳嗽が消失。
難治性:上記の治療でも咳嗽が消失しない場合。
(重症と難治性は専門医の診療が必要です)。

咳喘息の30%は、数年の内に典型的喘息を発症しますが、長期吸入ステロイド療法は
これを予防する効果があります

※    咳喘息は、短期間で治療を中断してしまうと再発しやすい傾向があり、2~3ヶ月間の吸入ステロイド薬による治療が必要です。

※    咳喘息は気道のアレルギー反応と末端の気道の閉塞が特徴的な病気です。そこで、気道のアレルギー反応を抑える吸入ステロイド薬と気道の閉塞を抑える気管支拡張薬が、一度に吸入することのできる「合剤」があります(最後にご紹介いたします)。

【アトピー咳嗽】

 1989年に日本から提唱された疾患概念で、乾いた咳が出ます。夜間(特に就寝時、夜中から早朝、起床時など)に多く、温度差のある空気を吸い込んだ時にも生じます。気管支拡張薬が無効で、ヒスタミンH1-拮抗(きっこう)薬とステロイド薬が有効です。

「アトピー素因」とは、アレルギー性疾患の既往歴がある、家族にアレルギー疾患の方がいるなど、アレルギー疾患を発症する可能性のある素因、という意味です。気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎のいずれかの既往がある方は、これに該当します。

 気管や気管支に好酸球というアレルギー細胞が関連した炎症が生じ、これらの表面の知覚神経が過敏になり、咳感受性が亢進して咳が出ます。咳喘息でも同様の病態は生じますが、アトピー咳嗽では末梢気道(内径が2mm未満の細い気管支)には生じないのが違いです。

 アトピー咳嗽の簡易診断基準ですが、
(1)    喘鳴や呼吸困難を伴わない乾性咳嗽が3週間以上継続
(2)    気管支拡張薬が無効
(3)    アトピー素因を示唆する所見や、痰に好酸球(アレルギー細胞)の増加がある
(4)    ヒスタミンH1拮抗薬 又は/及び ステロイド薬で咳発作が消失
です。
咳喘息とアトピー咳嗽は、区別するのが難しい場合もあります。気管支拡張薬が無効でヒスタミンH1拮抗薬やステロイド薬で改善することが、診断の決め手になることもあります。これを診断的治療と言います。

※アトピー咳嗽が気管支喘息に移行することは、原則としてありません。よって、症状が軽快した場合、咳喘息では長期吸入ステロイド療法が推奨されますが、アトピー咳嗽では治療を終了します。

以上、長びく咳について、私なりにまとめると、以下の図のようになります。
長びく咳があれば、まずは内科の先生の診察を受けて、胸のレントゲンや聴診で異常がないことを確認してもらうことが重要です。肺結核やマイコプラズマ肺炎、COPDなどの肺疾患がないことが確認されたのに、咳が長引いているときは、以下の様に考えることができます。

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疾患別の治療薬は以下の通りです。

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http://www.3nai.jp/weblog/entry/27953.html
(金沢大学呼吸器内科ホームページより)

 では、咳が長引いて夜も眠れないような場合、気管支拡張剤だけを使って様子見となるのでしょうか。
 それが「咳喘息」だった場合には症状は改善するでしょうが、もしも「アトピー咳嗽」だった場合には、症状の改善は期待できません。次回の受診日まで症状の改善がない可能性があることから、実際の診療の際には、咳の状態やアトピー素因の有無などにより、ロイコトリエン拮抗薬やステロイド吸入剤なども一緒に処方することがあります。アレルギー性鼻炎の患者さんは、ヒスタミンH1拮抗薬とロイコトリエン拮抗薬を同時に処方することもあります。

【長引く咳の治療に使う薬(例)】

(1)気管支拡張薬

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ホクナリンテープ

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ベラチン

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セレベント

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メプチン

(2)ロイコトリエン拮抗薬
ロイコトリエンという気管支収縮や分泌物(痰)の増加作用を有する物資の作用を阻害する薬で、気管支拡張作用と気道炎症抑制作用を有する薬です。アレルギー性鼻炎合併喘息や運動誘発性喘息、アスピリン喘息に有効な薬です。

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キプレス

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オノン 

(3)ヒスタミンH1拮抗(きっこう)薬
(3)ヒスタミンH1拮抗(きっこう)薬
いわゆるアレルギー用の内服薬です。
咳が主訴で、鼻の症状は無いのになぜ鼻炎薬を処方されるのが疑問の方もいらっしゃる方もいるかもしれません。しかし、前述の通り、アレルギー素因のある方では高い咳止め効果が得られることがあります。
 

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ザイザル

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アレグラ

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アレロック

 
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ジルテック ドライシロップ

(4)吸入ステロイド
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フルタイド

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キュバール

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オルベスコ

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パルミコート

(5)合剤
 (気管支拡張薬)+(吸入ステロイド) の両方が入った合剤です。
 咳喘息には著効し、アトピー咳嗽には気管支拡張薬成分は無効ですがステロイド成分の効果があります。
 特に咳の症状が強い時期には、合剤を使うことにより咳が速やかに改善します。治療を開始した当日、遅くとも数日中までには「とてもよく効いた」「眠れるようになった」と多くの患者さんがその効果を実感できます。
 

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アドエア

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シムビコート

繰り返しになりますが、
「長びく咳」 = 「咳喘息 または アトピー咳嗽」
では、ありません。

「ヒューヒュー」「ピーピー」という音のある咳や呼吸音がある場合、さらに呼吸苦も伴っている場合には、急いで小児科や内科を受診することをお勧めいたします。

また、見逃してはいけない肺疾患(結核や肺炎、百日咳、腫瘍など)がないかの確認のために、小児科や内科の先生に肺を診察していただくことも重要です。

3週間未満の短期間の咳はもちろん、3週間以上の長びく咳でお困りの場合にも、当院にお気軽にご相談ください。