こんにちは、院長の黒田です。
苫小牧市内では、早くもインフルエンザ罹患者が1名出ております。既に9月中に多くのお問い合わせを承っており、10/1から正式に予約を開始いたします。
今年も、接種できない特別な理由のある人を除き、できるだけ多くの人に、早期からインフルエンザワクチンを受けていただくことをお勧めいたします。
接種の予約時期が遅くなり過ぎて「接種を希望しても医療機関にワクチンの在庫が無く、受けられなかった」、予約するのを忘れて「1回目の接種を受けたのに、2回目が受けられなかった」という事が無いように、早めに接種の計画を立てていただくことをお勧めいたします。
今年から当院の接種に大きな変更点が、3つありますので、お知らせいたします。
【今年度からの変更について】
① 2歳以下の接種を中止して、3歳以上を対象とします。
(使用するワクチンの適応年齢のためです)
② 1人で使い切りで、水銀の添加物の入っていない「シリンジ型ワクチン」に全面的に
移行します。
(公費助成の方については、後述いたします)
③ 3~18歳の方は、今年国が新規に認可した、経鼻ワクチンの「フルミスト」が選べます。
注射器で腕を刺さず、両鼻に0.1mlずつ噴霧するだけなので、痛みがありません。
また、成人と異なり、小児では効果が高く、持続期間が長いと言われています。
【 「フルミスト」 とは?】
・アメリカでは2003年(20年以上前)から、ヨーロッパでも2011年(10年以上前)からと、
欧米では以前から広く接種されており、安全性・有効性がともに確立されたワクチンです。
日本は新薬の認可が遅く、アメリカから20年以上遅れて、ようやく今年から使えるように
なりました(既に世界中で長く使われている、安全性と有効性のあるワクチンです)。
・従来の皮下注射型のワクチンは、血液中にインフルエンザウイルスに対する免疫を誘導
するために、重症化抑制効果は期待できるものの、感染自体を防御する効果は十分でない
場合があります。
・一方、「フルミスト」は鼻咽腔(鼻とのどの間)の粘膜に直接に免疫を誘導します。
インフルエンザウイルスは、鼻やのどから侵入して感染しますから、経鼻ワクチンによって
感染のきっかけとなる場所に免疫を誘導することにより、「重症化防止」だけでは無く、
「感染自体の予防効果」が高いとされています。
・従来の注射型ワクチンでは、全身に免疫物質IgG(アイジージー)を誘導するのに対し、
経鼻型の「フルミスト」では感染の侵入経路である鼻咽腔に噴霧することにより、
気道分泌型の免疫物質IgA(アイジーエー)が粘膜に誘導されます。これにより、高い効果
があるといわれています。もちろん、IgGも誘導されます。
成人では従来の注射型ワクチンとの差がありませんが、小児では特に効果があるようです。
・対象は、2歳以上19歳未満の方です(当院の場合は、3歳~18歳です)。
・より詳しく知りたい方のために、資料をご用意しました。
日本小児科学会の見解と、厚労省の見解です。
要約すると、「従来型の注射型ワクチンと、経鼻型ワクチンの間に罹患予防効果に
対する明確な予防効果は確認されていない」という内容です。
一方、厚生労働省の見解は以下の通りです。
【「フルミスト」のメリットや、気をつけることは?】
・「フルミスト」は、注射ではなく、鼻の中に0.5mlずつ噴霧するだけなので、
小児でも、痛みや恐怖感がありません。
・注射型ワクチンでは、3~12歳は2回接種が必要ですが、1回接種で済みます。
・特に6歳以下の小児では、重症化予防だけで無く、「発症予防効果」が高いと
言われており、高い効果が期待できます。
・接種して2週間後から約1年後まで、効果が持続すると言われています。
・生ワクチンですが、注射や経口の生ワクチンとは異なり、他のワクチン接種との
間隔を空ける必要はありません。
・当院で鼻の治療で通院している方は、診察時のように両鼻に0.1mlずつワクチンを
噴霧するだけなので、いつもの診察と同様の雰囲気ですぐに終わります。
接種の際のイメージは、下記の図の通りです。
・注射型では無く鼻内噴霧型なので、接種当日も入浴できますが、過激な運動は避けて
ください。
・対象が3~18歳としていますので無いとは思いますが、妊婦や授乳婦への接種は
できませんので、接種前1ヶ月、接種後2ヶ月は避妊が必要です。
・免疫不全の方、周囲に免疫不全者がいる方、ゼラチンアレルギー、鶏卵・鶏肉アレルギー
の方、喘息症状のある方は、接種できません。
・生ワクチンですので、接種後に副反応が出る事があります。接種した2~3日後に、
約60%の方に鼻汁・鼻閉の症状が出現しますが、接種後1週間程度でおさまります。
また、約10%の方に、咽頭痛や発熱が出現しますが、同様に接種後1週間以内
でおさまります。症状が強いときには、御相談ください。
【フルミスト、水銀無しシリンジ、どちらを選ぶか】
以上の情報を踏まえて、私個人の見解としては、
① 小児では重症化予防効果だけで無く、感染予防効果もあることから、
「フルミスト」。
② 特に小児では、注射への恐怖感と痛みによって、体動で接種が困難となり、
保護
接種後もしばらくは泣き止まない)。「注射をしない予防接種」「1回で済む」
と保護者の方が事前に説明して、「フルミスト」。
③ いつも鼻の病気で通院していて、鼻処置を受けていれば、何の恐怖感もなく
接種が受けられるので、「フルミスト」。
④ 受験生など、受験の時期にインフルエンザに罹患したくないならば、
「フルミスト」。
⑤ 生ワクチンのため、接種後1週間は感冒様症状が出現する可能性があるため、
この時期に重要な行事があったり、副反応への懸念がある方は「シリンジ型」。
⑥ 妊娠の可能性があったり、上記の接種不可に該当する方は「シリンジ型」。
⑥ 外国では長年の実績のあるワクチンですが、国内では今年が初めてなので、
来シーズン以降の接種まで様子を見たい方は、「シリンジ型」。
かと思います(あくまで個人的な見解です)。
最終的には、保護者の方の判断となりますので、ご検討ください。 者の方も子供の体動を抑えるために苦労します(汗だくで押さえつけて、
【接種の年齢と回数】
【シリンジ型ワクチン】
(1) 3歳以上12歳以下 1回0.5ml 2回接種
(2) 13歳以上 1回0.5ml 原則として1回接種
(特別な事情があれば2回接種)
※ 1回目の接種時に12歳で2回目の接種時に13歳になっていた場合でも、12歳として考えて2回目の接種を受けて構いません。
※ 2回接種する場合は、腕の腫れを減らすため、左右交互に打つことが勧められています。
※ 一般に、13歳以上では1回接種で十分な免疫が得られるとされています。
但し、13歳以上でも基礎疾患(慢性疾患)のある方で、著しく免疫が抑制されている状態にあると考えられる方などは、医師の判断で2回接種が可能な場合があります。
【フルミスト】
(3)3歳以上19歳未満 各鼻腔に0.1mlずつ1噴霧 原則として1回接種
※ 3~8歳の小児で「インフルエンザに感染したことが無い」、又は「インフルエンザ
ワクチンを一度も接種したことが無い」方は、2回接種が勧められています。
【ワクチン接種のおすすめ時期】
12歳以下で、注射型ワクチンの場合には、2回接種が必要です。
注射のインフルエンザワクチンは、接種後2週目から抗体が上昇し始めて1ヵ月でピークに達し、その効果は約5ヵ月間持続します。2回接種が必要な場合、1回目の接種で抗体がピークに達している1か月後に追加接種した場合に、最も抗体が上昇します。2回目の接種はこの頃に受けるのがよいでしょう。(接種間隔は2~4週とされていますが、免疫効果を考えると、2回目は
4週間後が望ましいです)。
以下は当院として推奨するワクチン接種スケジュールの例です。
遅くとも11月末までには最後の接種を済ませておくことをお勧めいたします。
(12歳以下の注射のワクチン)
1回目 10月中旬~11月上旬
↓(2~4週後)
2回目 11月中旬~12月上旬
(13歳以上の注射型のワクチン、3-18歳の経鼻型ワクチン)
10月中旬~12月上旬
【他の予防接種との間隔】
「注射生ワクチン→注射生ワクチンだけは、間隔をあける必要があります」が、それ以外は間隔をあける必要がありません。
「シリンジ型の注射ワクチン」は「不活化ワクチン」、「フルミスト」も「経鼻生ワクチン」
で「注射の生ワクチン」ではありませんので、他の予防接種との間隔を気にせずに、接種することが出来ます。
詳しくは、下記の資料をご覧下さい。
(下記資料は、クリックで拡大します)
【妊娠中・授乳中の接種】
【シリンジ型ワクチン】
・妊婦または妊娠している可能性のある場合には、「予防接種の有益性が、危険性を上回ると
判断される場合にのみ接種すること」となっています。一般的に注射型ワクチンは接種可と
言われており、特に当院では水銀の保存料の入っていない安全性の高いワクチンのみを採用
しています。
・万が一の危険性を心配される方は、接種を控えた方が良いと思われますが、、むしろ、
妊娠中にインフルエンザに罹患した場合の胎児への影響の方が懸念されるとも言われています。
妊娠中で心配な方は、通院中の産科担当医にご相談されることをお勧めいたします。
「接種は問題が無い」と言われた妊婦さんは、当院でワクチン接種が可能です。
・授乳期間中は、インフルエンザワクチンを接種しても支障はありません。インフルエンザ
ワクチンは「不活化ワクチン」で、ウイルスの病原性を無くしたウイルスの成分を用いている
ため、ウイルスが体内で増えることが無く、母乳を介してお子さんに影響を与えることは
ありません。
・授乳期間中にインフルエンザに罹患してしまった場合、授乳を続けながら治療薬
(タミフル・イナビルなど)は使用出来ません。なので、授乳しながらでも受けられる
ワクチン接種による重症化予防をお勧めいたします。
【フルミスト】
・妊婦さんへの接種は禁忌(きんき)ですので受けられません。
・授乳婦さんは、「ワクチン接種後1~2週間は、乳児との接触を控えること」、
となっています。現実的に赤ちゃんと完全にに接触しないことが無理なため、
当院では接種を行いません。
【当クリニックの予防接種】
(1)接種開始日は、10/15(火)です。
『完全予約制』です。
(在庫がなくなり次第終了いたします)
(2) 予約方法
予約の利便性を高めるために、
「インフルエンザワクチンのインターネット予約」
を10/5(土)から開始いたします。
24時間、スマホやPCから予約が可能ですので、とても便利かと思いますので、
是非ご利用ください。
10/5までは、
・従来通りに電話や受付窓口で予約(診察時間内)。
・インターネット予約に備えて、必要な情報だけ入力しておき、
10/5以降には、インターネットで日程を予約するだけの状態にしておく。
のどちらかになります。
(上記バナーをクリックで、予約画面へ)
ネット予約が出来ない方は、受付窓口で御相談か、お電話でご連絡ください。
公費を利用される方も、ネット予約は出来ませんので、直接御相談ください。
(3) 小児は、誤接種を防ぐために「母子手帳」を必ず持参して下さい。
持参の無い場合、安全を重視して、接種はできません。
(4) 価格
シリンジ型注射ワクチン(3800円)
(特徴)
・水銀の保存料無し
・既に注射器に入っているので無菌状態
・すぐに接種出来る製剤で異物混入がない
・1人で使いきりなので清潔
・万が一、都合による日程変更の際も、取り置き可能
・流通量が少なく、上記のメリットがあるので、価格が割合高い
経鼻噴霧型「フルミスト」(8000円)
(特徴)
・上記で詳細に解説しておりますので御参照ください。
・小児~未成年が対象のため、耳鼻科と小児科が中心となって接種が行われます
(特に耳鼻咽喉科は、普段の診療で小児の鼻の中を処置していますので、お任せ下さい)
・既に注射器に入っているので無菌状態
・すぐに接種出来る製剤で異物混入がない
・1人で使いきりなので清潔
・万が一、都合による日程変更の際も、取り置き可能
・多くのメリットがあるため、価格が高いですが、今年は注射型ワクチン2回分の金額と
大差が出ないように設定しました(東京や大都市圏では、1万円以上のようです)
【公費助成を受けられる方】
バイアル製剤 (自己負担1300円)
(特徴)
・水銀の保存料が入っている。
・1本のバイアルから必要量を注射器に詰める
・バイアルからワクチンを抜き取る際に異物混入があり得る
・1本のバイアルを、複数の人と共有します
・体調不良や発熱で、日程変更や接種不可の際は、予約はキャンセルになります。
(空きがあれば、再度予約日程の取り直しは可能)
・流通量が多く、原価が安いので、接種価格も安い。
(公費助成を利用する方で、シリンジワクチンを希望の方は、差額が自費となります。
窓口か電話で御相談ください)
【公費助成を受けられる方】
・期間は、令和6年10月1日~同7年1月31日(在庫が無くなり次第終了)
・下記に該当する方は、公費助成が受けられます。
・氏名・年齢・住所を確認できる身分証明書や、必要な書類をお持ちでない場合には、
公費助成は受けられません。
・必要書類をお忘れの方は、持参のうえで再来院をお願いいたします。
窓口での負担は、1,300円です。
非課税世帯の方でも、生活保護世帯以外の方は有料です。
期間外の接種は、対象外となりますのでご注意ください。
苫小牧市に住んでいても、苫小牧市に住民登録が無い場合は対象外となります。
市外の医療機関で接種したときなど、全額自己負担で接種された方への補助はありません。
ワクチンは数に限りがある貴重なお薬です。
体調を崩したり、都合が悪くなって予約をキャンセルされる際には、早めにご連絡いただけますと、貴重なワクチンが無駄にならずに済みます。御協力のほど宜しくお願いいたします。
その他、インフルエンザの予防接種に関するお問い合わせは、遠慮なく、当院の窓口またはお電話でお願いいたします。
詳細については、下記の厚生労働省のHPに記載がありますので、ご参照下さい。
(下記のバナーをクリックで、厚生労働省からの情報が閲覧できます)
(厚生労働省のホームページ)
(5)その他
診察時間内に、窓口又はお電話にてお問い合わせください)
(TEL) 0144-53-5800