イネ科の花粉症の季節です

​こんにちは。
たくゆう耳鼻咽喉科クリニックの黒田です。

ゴールデンウイーク明けから始まったシラカバの花粉症が一段落して、鼻炎の患者さんは症状がようやくおさまった頃かと思います。
ところが、今度は次の花粉症のシーズンが始まります。

以下は「北海道立衛生研究所」のHPに掲載されている、イネ科花粉の飛散状況です。

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(北海道立衛生研究所のHPより)
http://www.iph.pref.hokkaido.jp/pollen/ine/ine.htm

以前、シラカバ花粉症のときにもお話ししましたが、苫小牧の花粉の飛散時期は、札幌に比べると若干のずれがありますが、ほぼ同様と思われます(気温が低いと飛散開始が遅くなります)。イネ科は、気温が20度を超えるようになると花粉を飛ばし始めるようです。

さて、イネ科の花粉症と言われても、ピンと来ない方もたくさんいらっしゃるかと思います。お米のイネではなく、イネ科の雑草の花粉症のことなのですが、代表的なものでは「カモガヤ」や「オオアワガエリ」などがあります。2つとも世界的に有名な牧草で、明治時代以降に家畜の餌として導入されたものが野生化したそうで、道路わき、河川敷、公園などに生育しています。スギやシラカバなどの樹木の花粉とは異なり、飛散距離が数十メートルと短いので、これらにあまり近づかないことで症状を抑えられます。
そう言われても、ほとんどの方は「どの草のこと?」という感じかと思いますので、以下の写真をご覧下さい(6/22に拓勇地区を散歩した時に撮影した物です)。写真はクリックすると拡大されます。

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ご近所でもよく見かける雑草かと思います。まるでイネや麦の様に見えませんか。少し近づいて見てみると.....

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まだ開花前の穂ですが、先端が赤紫色に染まってきています。

先端がかなり赤くなっている物もあります。

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そして穂が全体ににふくらんだ物もあります。

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(ピンぼけで申し訳ありません….)

こちらでは、一部開花しています。

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この辺りは、かなり咲いています。
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同じ穂の表と裏の写真です。

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こちらの穂は、花粉がびっしりで黄色みを帯びています。
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最後になりますが、こちらが「オオアワガエリ」です。よく見かけるのではないかと思います。
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今はまだ青々としていましたが、時期が来れば、穂が黄色から茶色い花粉で覆われていきます。

カモガヤは果物との共通抗原性があり(花粉症の原因物質と類似した物質が果物の中に含まれていると言われています)、特にメロンやスイカとの関連が有名です。メロンやスイカを食べると、唇・口・のどがイガイガしたり痒くなる方は、カモガヤのアレルギーがあるのかもしれません。
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花粉症や果物アレルギーは、血液検査などで調べることが出来ます。原因物質が分かればアレルギー症状が出ることを予防したり、症状がひどくなる前にお薬を使用することで症状を軽減する事が出来ます。

花粉症やアレルギーに関することは、ご遠慮無く、耳鼻咽喉科専門医にご相談下さい。

後鼻漏による咳とは?

たくゆう耳鼻咽喉科クリニックの黒田です。
本日は、よくある症状について、簡単にご説明したいと思います。
 
鼻の中で過剰に分泌された鼻水が、鼻の穴から出てくれば、それはいわゆる「鼻水が出る」ということになります。
しかし、中には「鼻水が前に出ないで、のどの方に垂れていく感じ」で困っている方がいます。
 
まずは下の図をご覧ください。
これは、人の顔の断面を図でお示しした物です。
お分かりいただけますでしょうか。

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健康な方
鼻水は、健康な人でも1日に2~6リットルが作られ、その約3割(0.6~2リットル)は鼻の後方からのどに流れ落ち、本人が知らないうちに無意識に飲み込んでいると言われています。これが後鼻漏(こうびろう)です。ですから、後鼻漏があること自体は病気ではありません。後鼻漏は、健康な方でも生じている生理的なものなのです。

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鼻炎の方
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などで、鼻内の鼻水が増えてくると、鼻のあなから鼻水が出て、さらには口蓋垂(のどちんこ)の後ろを回り込んで喉(のど)に落ちていく後鼻漏が普段よりも増えてきます。

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鼻炎の方が仰向けになると…
夜間に寝た状態になると、鼻水はさらに後鼻漏となって流れ落ちるようになります。後鼻漏が増えると、痰が詰まったような感じになります。しかし、実際には痰ではなく後鼻漏がのどに溜まっていることがあります。

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のどに溜まった後鼻漏は、粘り気を増し、また時には黄色味を帯びてくることもあります。睡眠中は、これらを吐き出さない限り、後鼻漏が溜まったままになります。眠ってしまうと、後鼻漏は気にならなくなることが多いようです。

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     朝になると…
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鼻炎をお持ちの方で、朝に起床後に痰の混じった咳が多いという方は、のどに溜まった後鼻漏を吐き出そうとして咳をしているのかもしれません。このような咳は、のどに付着した鼻水を外に吐き出すために大事な役割を持っているため、咳止めでこれを無理に抑え込み過ぎるのは、あまり良くないのかもしれません。
腸の中にたまった有害なものを出すために下痢をするのと同様に、のどに溜まった後鼻漏を出そうとして咳が出る場合には、これを抑え込みすぎては排出すべきものが十分に出てくれません。上記のように後鼻漏が原因の咳の場合には、咳止めを使うよりも、鼻炎の治療を優先したほうが良いと思われます。
また、鼻炎の程度が強い方は、テッィシュでかむ鼻水の量だけでなく、後鼻漏も増えて昼間の咳が出ることがあります。のどの病気ではないので、やはり原因となっている鼻炎の治療が最優先されます。
「ヒュー、ヒュー」と音のなるような咳や、呼吸苦を伴う咳は、気管支喘息などの可能性もあるので、内科や小児科の先生の診察を受けた方が良いです。しかし、鼻の調子が悪くて咳を伴っている場合には、耳鼻咽喉科専門医の診察を受けてみることもお勧めいたします。「鼻水は出ていないし、痰の出る咳なのに、なんで鼻炎薬を処方されるのだろう?」と疑問に思われる方、「後鼻漏による咳」も考えて一度診察を受けてみてはいかがでしょうか。
 

シラカバ花粉症の続報です。

こんにちは。
たくゆう耳鼻咽喉科クリニックの黒田です。
開院直後から、咳と声がれで大きな声が出せませんでしたが、ようやくのどの調子が良くなってきました。診察と受療環境整備に明け暮れていましたので、医者の不養生というわけではないのですが、開院準備と1日中声を出し続くていたせいで、ここ1か月ほどは小さなかすれ声しか出ない状態でした。
病状のご説明などの際には、小さな声で聞き取りづらく、ご迷惑をおかけしたかもしれません。本来の声に戻りつつありますので、今しばらくご辛抱いただけますでしょうか。
 
さて、前回はシラカバ花粉症による鼻炎についてご説明いたしました。
その後の札幌の飛散状況はどうなったのでしょう。
「北海道立衛生研究所」のHPに掲載されている、シラカバ花粉の飛散状況です。
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(北海道立衛生研究所のHPより)
http://www.iph.pref.hokkaido.jp/pollen/shirakaba/shirakaba.htm
(ブラウザはFirefoxを使用しています)
 
上記の通り、その後は一気に花粉の飛散が進んだことが分かります。
苫小牧は飛散状況の調査が行われていませんので詳細は不明ですが、気温差や例年の鼻炎患者さんの様子を考えると、札幌のデータのおよそ1週間遅れで苫小牧にもシラカバ花粉症がやってくる印象です。ですから、今が苫小牧のシラカバ花粉症のピークではないかと私は考えています。
ゴールデンウイーク前後から6月初めまでの鼻水、鼻づまり、くしゃみ。「鼻かぜではなく、シラカバ花粉症かも」と考えて、耳鼻咽喉科専門医へのご相談をお勧めいたします。

シラカバ花粉症の季節です

こんにちは。
たくゆう耳鼻咽喉科クリニックの黒田です。
おかげさまで、開院から1か月がたちました。
 
さて、最近は「季節の変わり目で鼻風邪をひいたのではないかと思う」とのことで来院される方が増えております。
果たして、皆さん本当に鼻風邪なのでしょうか。
 
下の図をご覧ください。
「北海道立衛生研究所」のHPに掲載されている、シラカバ花粉の飛散状況です。
 

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(北海道立衛生研究所のHPより)
http://www.iph.pref.hokkaido.jp/pollen/shirakaba/shirakaba.htm
 
今年のシラカバ花粉の飛散状況がHP上で更新されています。Internet ExplorerとFirefoxでは、表示内容が異なることがあるようです(上記はFirefoxの画像です)。
 
例年、道央地区ではゴールデンウイーク頃にシラカンバの花粉が大量に飛散するために、アレルギー性鼻炎を発症される方がたくさんいらっしゃいます。
今年は春先の気温が低く、例年に比べて飛散開始時期が遅かったのですが、札幌でもようやくシラカバ花粉が飛散し始めたようです。
昨年の今頃は飛散が収束していたのですが、今年はこれからピークを迎えます。苫小牧の飛散時期は、札幌に比べると若干のずれがありますが、ほぼ同様と思われます(気温が低いと飛散開始が遅くなります)。
 
さて、例年との比較ですが、今年は去年と比べてシラカバ花粉は沢山飛ぶのでしょうか?
その答えが以下の図に示されています。
本州では春のスギ花粉症が有名ですが、北海道では道南の一部を除けば、スギ花粉症自体は稀です。その代わり、北海道ではシラカンバ花粉症が有名です。
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「日本気象協会」HPより
http://www.jwa.or.jp/content/view/full/4902/
 
北海道だけが、スギ花粉情報ではなくシラカバ花粉情報となっているのも、上記の理由からです。
今年2013年の飛散量は、昨年2012年と比較して「非常に多い」となっています。が、ここ数年と比べると「例年並み」となっています。
これはどういうことでしょう?
同じページよりの抜粋ですが、北海道のシラカバ花粉の飛散量は、例年比では110%とほぼ同じですが、昨年比では880%(!)と予想されています。
昨年の飛散量が極端に少なかったために、このような数字になっていると思われます(昨年が極端に少なかったわけです)。

地方 花粉
種別
飛散
開始時期
飛散量 2012年夏の気象
例年比(地方平均値) 前年比(地方平均値)
北海道 シラカバ 4月下旬 やや多い(110%) 非常に多い(880%) 気温:高い
日照時間:平年並
降水量:少ない


昨年の春にはほとんど鼻炎の無かった方でも、今年はシラカバ花粉症に気をつけた方が良いかもしれません。

この時期に鼻炎症状のある方は、耳鼻咽喉科専門医にご相談下さい。