こんにちは。院長の黒田です。
今年は、「新型コロナウイルス感染症の世界的流行」のため、生活様式が一変してしまいました。
仕事では、出勤調整やリモートワークが当たり前になり、学生は登校できない日々が続き、行事や大会はほぼ中止。世界中で人の往来が無くなり、誰もが感染予防策を考えて、実行するようになりました。
1年前との今頃とは、生活様式が一変してしまいましたが、いつかは以前のように元に戻るのか、あるいは全く新しい生活が根付いていくのか、誰にも分かりません。
目に見えない恐怖感を抱いていても何も変わらないので、誰もが出来る様な感染予防策を普通に実践していくしかないのかな、と感じています。
最近の傾向ですが、当院では「めまい」で来院される方が非常に増えています。心身のストレスが原因で生じる一過性のめまい感の方がほとんどですが、内耳が原因のめまいの方も少なからずいらっしゃいます。
また、新型コロナウイルスを恐れて外出や受診を控えることで、難治化・重症化した状態で、耳・鼻・のどの病気で来院される方もいらっしゃいます。
季節の変わり目で気温も下がっていきますので、風邪を引く方も増えています。また、マスクが出来ない乳幼児では、中耳炎の合併が増えてきました。
当クリニックでは、新型コロナ感染症対策をできる限り行って、安全に診察を受けていただけるように工夫しております。
一般的な感染予防策を行うことはもちろん大事ですが、体調不良時には、我慢しないで医療機関に御相談くださいますよう、お願いいたします。
さて、今年もインフルエンザの予防接種の時期になりました。
上述の「新型コロナウイルス感染症」の影響で、感染症への意識が高まり、今年はインフルエンザワクチン接種を早期に希望する方が増えると予想されています。実際、9月中にたくさんの方から予防接種に関する問い合わせがあり、当クリニックも、例年以上に早期にワクチンを確保して準備を進めておりました。
時期が遅くなり過ぎて「接種を希望しても医療機関にワクチンの在庫が無く、受けられなかった」、予約するのを忘れて「1回目の接種を受けたのに、2回目が受けられなかった」という事が無いように、早めに接種の計画を立てていただくことをお勧めいたします。
【接種の年齢と回数】
(1) 6か月以上3歳未満 1回0.25ml 2回接種
(2) 3歳以上13歳未満 1回0.5ml 2回接種
(3) 13歳以上 1回0.5ml 原則として1回接種(特別な事情があれば2回接種)
※ 生後0~6ヵ月まではワクチンを接種しても抗体が増えず、有効性が確認されていないため、ワクチン接種の対象となっていません(接種希望があっても接種できません)
※ 1回目の接種時に12歳で2回目の接種時に13歳になっていた場合でも、12歳として考えて2回目の接種を受けて構いません。
※ 2回接種する場合は、腕の腫れを減らすため、左右交互に打つことが勧められています。
【ワクチン接種のおすすめ時期】
インフルエンザワクチンは接種後2週目から抗体が上昇し始めて1ヵ月でピークに達し、その効果は約5ヵ月間持続します。2回接種が必要な場合、1回目の接種で抗体がピークに達している1か月後に追加接種した場合に最も抗体が上昇します。2回目の接種はこの頃に受けるのがよいでしょう(一般的には、接種間隔は2~4週とされています)。
以下は当院として推奨するワクチン接種スケジュールの例です。
遅くとも12月上旬までには最後の接種を済ませておくことをお勧めいたします。
(12歳以下)
1回目 10月下旬~11月上旬
↓(4週後)
2回目 11月下旬~12月上旬
(13歳以上)
11月上旬~12月上旬
ワクチン接種後の効果の持続期間ですが、一般的には、2回の接種後1か月で77%が有効予防水準に達し、接種後3ヶ月で有効抗体水準は約78.8%と維持されていますが、接種後5ヶ月では約50.8%まで減少すると言われています。
つまり、最後の接種が11月上旬の方は、2月上旬までは約80%、4月上旬までは50%の抗体が維持されます。最後の接種が12月上旬ですと、3月上旬までは80%、5月上旬までは50%、ということになります。
接種の時期に関しては、今年は厚労省から、以下のような「接種時期ご協力のお願い」が来ております。65歳以上の方が、確実にワクチン接種を受けていただけるようにするための依頼です。
当クリニックも、原則として以下の通りで予約を受付する予定ですが、ワクチンの在庫は十分にありますので、特別な事情のある方は予約時に御相談ください。
10/1〜 65歳以上の方
60-64歳(慢性高度の心・腎・呼吸機能不全者)
10/26〜 全ての方
(上記資料は、クリックで拡大します)
【他の予防接種との間隔】
今年の10月1日より、予防接種の間隔に関して、大きな改正があります。以前は、不活化ワクチン・生ワクチンともに、必ず間隔をあけて接種を行っていました。しかし、今年からは「注射生ワクチン同士だけ間隔をあける必要があります」が、それ以外は間隔をあける必要が無くなり、同時接種も可能となります。
インフルエンザワクチンは「不活化ワクチン」ですので、今年からは、他の予防接種との間隔を気にせずに、接種することが出来ます。
詳しくは、下記の資料をご覧下さい。
(上記資料は、クリックで拡大します)
【妊娠中・授乳中の接種】
妊婦または妊娠している可能性のある場合には、「予防接種の有益性が、危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること」となっています。よって、万が一の危険性を心配される方は、接種を控えたほうが良いと思われます。
但し、『妊婦がインフルエンザに罹患すると、気管支炎・肺炎などの重篤な合併症を併発しやすく、妊娠週数とともにリスクが増大します(心肺機能が悪化して入院するリスクは、妊娠14~20 週で 1.4 倍、27~31 週で 2.6 倍、 37~42 週で 4.7 倍)。さらに妊婦がインフルエンザに感染すると、自然流産・早産・低出生体重児・不当軽量児・胎児死亡が増加すると言われています。
現在日本で使用されているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、理論的に妊婦・胎児に対して問題はなく、米国疾病予防局および米国産婦人科学会は、インフルエンザ流行期間に妊娠予定(妊娠期間に関係なく)の女性への不活化インフルエンザワクチン接種を推奨しています』
(以上、日本産婦人科学会による産婦人科診療ガイドライン-産科編2017より)。
つまり、日本の産婦人科学会では、積極的な推奨も禁止もしていない状態です(アメリカでは推奨されています)。よって、妊娠中の方は、通院中の産科担当医にご相談されることをお勧めいたします。「接種は問題が無い」と言われた妊婦さんは、当院でワクチン接種が可能です。
一方、授乳期間中は、インフルエンザワクチンを接種しても支障はありません。インフルエンザワクチンは「不活化ワクチン」というタイプで、ウイルスの病原性を無くしたウイルスの成分を用いているため、ウイルスが体内で増えることが無く、母乳を介してお子さんに影響を与えることはありません。
しかし、授乳期間中にインフルエンザに罹患してしまった場合、授乳を続けながら治療薬(タミフルなど)を使用は出来ません。なので、授乳しながらでも受けられるワクチン接種による予防をお勧めいたします(以下をご参照ください)。
【授乳中のインフルエンザ治療】
授乳期間中にインフルエンザに罹患してしまった場合、母乳中にインフルエンザウイルスが含まれ、母乳を介して乳児に感染を起こすことはほとんど無いと考えられています。しかし、母親と乳児は日常から接触する機会が多く、母乳とは関係なく、咳などの飛沫感染によって乳児に感染する可能性が高いと言われています。
そして、抗インフルエンザ薬(タミフル、イナビルなど)は母乳中に移行すると言われており、投薬中に母乳を与えることは避けることとなっています。米国予防注射詰問委員会の勧告では、抗インフルエンザ治療薬について、「授乳中の婦人には投与しない」「投与する場合には授乳は避ける」とあります。
【今年のワクチン供給量】
今年の供給量は、昨年の製造量より7%増、昨年の実際の使用量と比較すると12%増です。しかし、医療機関が在庫できるワクチン数は昨年とほぼ同数と見込まれています。
(下のグラフをクリックすると拡大表示されます)
(厚生労働省のHPより)
上記の通り、12月になれば医療機関にも十分な量のワクチンが行き渡ると予想されますが、12歳以下で2回接種が必要な場合、1回目の接種が12月では遅すぎます。10月下旬~11月上旬には、1回目の接種を受けることをお勧めいたします。
前述の【ワクチン接種のおすすめ時期】を参考に、確実な接種のために、医療機関に事前に予約されることをお勧めいたします。
【当クリニックの予防接種】
(1) チメロサール(水銀を含有した保存料)の入っていない、1人で使い切り型のワクチンは、今回のシーズンもごく少量しか製造されていません。妊婦さんなど、水銀が気になる方のために、少量のみ確保しています(無くなり次第終了します)。
←今年も、保存料無しタイプは稀少。
(2) 経鼻ワクチンは行っていません。
従来型の注射ワクチンのみです。経鼻ワクチンが「推奨されるワクチン」として国内で認可された場合には、当院も導入を検討いたしますが、現状では導入の予定はありません。
(3) 小児は、誤接種を防ぐために「母子手帳」を必ず持参して下さい。
持参の無い場合、安全を重視して、接種はできません。
(4) 接種開始日は、10/1(木)です。
『完全予約制』です。
(在庫がなくなり次第終了いたします)
診察時間内に、窓口又はお電話にてお問い合わせをお願いいたします。
(TEL) 0144-53-5800
(5) 価格と回数
【生後6か月以上 3歳未満】
・2週間以上あけて、2回接種が必要です(3~4週間後がお勧めです)。
・必ず、『母子手帳』をご提出ください。
【3歳以上 13歳未満】
水銀の添加物を含まず、アレルギーなどの副作用が少ないタイプも選べます。
(製造数が非常に少ないです。在庫がなくなり次第、終了します)
(保存料の水銀なし。1人で使い切りの安全タイプ)
・2週間以上あけて、2回接種が必要です(3~4週間後をお勧めします)。
・小児は、必ず「母子手帳」をご提出ください(小学生は、できれば提出して下さい)。
【13歳以上】
水銀の添加物を含まず、アレルギーなどの副作用が少ないタイプも選べます。
(製造数が非常に少ないです。在庫がなくなり次第、終了します)
(保存料の水銀なし。1人で使い切りの安全タイプ)
・原則として1回接種です 。
※ 一般に、13歳以上では1回接種で十分な免疫が得られるとされています。
但し、13歳以上でも基礎疾患(慢性疾患)のある方で、著しく免疫が抑制されている状態にあると考えられる方などは、医師の判断で2回接種が可能な場合があります。
【公費助成を受けられる方】
・期間は、令和2年10月1日~3年1月31日(在庫が無くなり次第終了)
・下記に該当する方は、公費助成が受けられます。
・氏名・年齢・住所を確認できる身分証明書や、必要な手帳をお持ちでない場合には、公費助成は受けられません。
・必要書類をお忘れの方は、持参のうえで再来院をお願いいたします。
窓口での負担は、(1,300円)です。
非課税世帯の方でも、生活保護世帯以外の方は有料になります。
期間外の接種は、対象外となりますのでご注意ください。
苫小牧市に住んでいても、苫小牧市に住民登録が無い場合は対象外となります。
市外の医療機関で接種したときなど、全額自己負担で接種された方への補助はありません。
ワクチンは数に限りがある貴重なお薬で、しかも一度開封してしまうと保存することができません。体調を崩したり、都合が悪くなって予約をキャンセルされる際には、早めにご連絡いただけますと、貴重なワクチンが無駄にならずに済みます。御協力のほど宜しくお願いいたします。
その他、インフルエンザの予防接種に関するお問い合わせは、遠慮なく、当院の窓口またはお電話でお願いいたします。 詳細については、下記の厚生労働省のHPに記載がありますので、ご参照下さい。
(下記のボタンをクリックすると、厚生労働省からのインフルエンザに関する情報が閲覧できます)
(厚生労働省のホームページ)