今年はシラカバ花粉が多数飛散しています

こんにちは。
たくゆう耳鼻咽喉科クリニックの黒田です。
 
5月に入っても気温が上がりらず、寒さも感じる日が続いていましたので、風邪症状で受診される方がたくさんいます。しかし、今後は気温も上がり、春の陽気を感じられる日も増えてくるのでは無いでしょうか。

そして、今年も花粉症が本格化してきました。
3月にはハンノキの花粉症があり、ゴールデンウイーク頃からは、「シラカバの花粉症」が始まっています。シラカバ花粉症では、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ、頭痛などの症状が強く出る傾向があります。

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鼻風邪と花粉症を区別することは重要です。
花粉症の場合には、風邪薬では効果が無いことが多く、また、花粉症の程度によって適切な薬剤を選択しなければ、抗アレルギー剤を内服しても十分な効果が得られないことがあります。
アレルギー性鼻炎かどうかを調べて、実際に鼻を見てもらってから処方を受けることが大事な理由は、ここにあります。

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それでは、今年の2月に発表されていた「シラカバ花粉症」の飛散予測がどうだったか、見てみましょう。
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(日本気象協会のHPより)

予想では、ここ数年との比較では50-70%と少なく、昨年との比較でも50-70%と少ない、とされていました。
そして、実際の飛散量は以下の通りです。2018shi[1]
(北海道立衛生研究所のHPより)
 
予想は外れて、ゴールデンウィーク期間をピークに例年以上の飛散量です。ピークは過ぎましたが、依然として例年以上に飛散しています。
シラカバ花粉症の診断がついている方でも、昨年は無症状で過ごせたのに、今年は鼻水・鼻づまり・くしゃみがひどい人が多いのは、これが原因と思われます。
 
さらに、例年6月から飛散が始まる「イネ科の牧草系の雑草」である「カモガヤ花粉」も飛散が始まっています。
2018ine[1]
(北海道立衛生研究所のHPより)
 
グラフを見ると、「まだそんなに飛んでいないのでは?」と思われるかもしれませんが、「カモガヤ花粉症」の患者さんが、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみ で多数来院しています。
グラフの通り、札幌ではそれほど飛散していないのかもしれませんが、日高方面の牧草地帯では多数飛散しているのかもしれません。実際、来院者のご住所を調べてみると、平取町、日高町の方が多く、苫小牧とその周辺では少ない、という傾向がありました。
牧場関係のお仕事をされている方、周辺に牧草がたくさんある地域にお住まいの方、などは、既に「カモガヤ花粉症」を発症しているようですので、風邪と思い込まずに、早めに耳鼻咽喉科専門医の受診をした方が良いのかもしれません。 
 
以上のように、「自分が花粉症を持っているか」を知っておくことは重要で、正しい治療を受ける近道になります。
一度調べてしまえば、今後毎年の鼻症状について、自己診断することも可能になるので、「花粉症の時期が来たので、今年も来院しました。いつものお薬をお願いします」とおっしゃって来院する患者さんもたくさんいます。
 
花粉症のときには、気道の過敏性が亢進して咳も出やすく、「アトピー咳嗽」と言われるような一度始まるとなかなか止まらない咳を合併することもあります。そして、鼻水が多くなると後鼻漏も増えるため、鼻汁による咳を伴って、さらに症状は悪化することがあります。
「鼻かぜではなく花粉症かも」、「鼻とのどの風邪ではなく、花粉症に伴う咳かも」と考えてみても良いかもしれません。
咳がなかなか止まらない場合には、耳鼻咽喉科専門医でアレルギーの検査を受けていただき、アレルギーの治療を開始することをお勧めすることがあります。

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また、小児の場合には、鼻水の出る状態が長く続くと「中耳炎」を合併することが多いため、しっかりと耳垢を取り除いて鼓膜を確認することが重要です。中耳炎は軽症であれば薬を飲むことで改善しますが、重症化してしまうと、激しい耳痛、発熱、耳だれが出ることがあり、場合によっては鼓膜切開が必要になることがあります。
小さな子供は、耳の不快感があっても保護者に訴えないでいることが多いので、「鼻水が出ているし、もしかしたら中耳炎になっていないかな?」と考えてあげることが大事です。
この時期は、「この春から保育園に通い始めたら鼻水が止まらなくなった」「鼻水が出ながら幼稚園に通っていたけれど、『発熱しているので』とお迎えに来るよう言われた」という相談がたくさんあります。中耳炎を合併していることが少なくありませんので、耳鼻咽喉科専門医を受診することをお勧めいたします。

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 そして、小児、成人を問わず、「アレルギー症状」と決めつけずに「副鼻腔炎」の有無を調べることも重要です。小児の場合、アレルギー性鼻炎患者の約50%が副鼻腔に異常があり、逆に副鼻腔炎患者の25~75%にアレルギー性鼻炎が認められると言われています。
2つの病気を合併している場合には、両方の治療が必要なことが少なくありません。
中耳炎を難治化させる原因としても知られており、長引く中耳炎では副鼻腔炎の有無の確認が重要です。

この時期の「鼻水、鼻づまり、くしゃみ・目のかゆみ」などの症状については、耳鼻咽喉科専門医の受診をお勧めいたします。

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