こんにちは。
たくゆう耳鼻咽喉科クリニックの黒田です。
すっかり気温が下がり、感冒症状で受診される方が大変多くなっております。
乳幼児では、鼻水と鼻すすりが続くことで、鼓膜切開が必要なほどに重症化した急性中耳炎になっていることが増えてきました。
小児の場合、特に耳の症状が無い場合でも、鼻水があれば中耳炎も疑った方が良いです。
さて、今年もインフルエンザの予防接種の時期になりました。
予防接種に関するご案内をいたします。
【インフルエンザワクチンが3価から4価になりました】
インフルエンザウイルスは、内部のタンパク質の種類によってA型、B型、C型の3種類に分類され、症状が強くて世界的な大流行を起こす原因になることで有名なのが、A型です。
予防接種で、どのインフルエンザワクチン株を使用するのかは、厚生労働省健康局の依頼に応じて国立感染症研究所が検討し、これに基づいて厚生労働省が決定しています。以下の通り、ほぼ毎年、予防接種のインフルエンザ株が変わっています。
・平成24年度(2012/13シーズン)
A/California(カリフォルニア)/7/2009(H1N1)pdm09
A/Victoria(ビクトリア)/361/2011(H3N2)
B/Wisconsin(ウイスコンシン)/01/2010(山形系統)
・平成25年度(2013/14シーズン)
A/California(カリフォルニア)/7/2009(X-179A)(H1N1)pdm09
A/Texas(テキサス)/50/2012(X-223)(H3N2)
B/Massachusetts(マサチュセッツ)/02/2012(BX-51B)(山形系統)
・平成26年度(2014/15シーズン)
A/California(カリフォルニア)/7/2009(X-179A)(H1N1)pdm09
A/New York(ニューヨーク)/39/2012(X-233A)(H3N2)
B/Massachusetts(マサチュセッツ)/2/2012(BX-51B)
そして今年ですが、厚生労働省より、以下の通知が発表になりました。
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平成27年5月8日
各都道府県知事 殿
厚生労働省健康局長
生物学的製剤基準(平成16年3月30日厚生労働省告示第155号)の規定に係る平成27年度のインフルエンザHAワクチン製造株を下記のとおり決定したので通知する。
なお、平成27年度より4価のインフルエンザHAワクチンを導入する。
記
A型株
A/カリフォルニア/7/2009(X-179A)(H1N1)pdm09
A/スイス/9715293/2013(NIB-88)(H3N2) ←昨年と変更
B型株
B/プーケット/3073/2013(山形系統)←昨年と変更
B/テキサス/2/2013(ビクトリア系統)←昨年と変更
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つまり、今回の平成27年度(2015/16シーズン)のワクチンは、今までの3価(Aが2つ、Bが2つ)から、4価(Aが2つ、Bが2つ)に変更になったのです。今年は、全ての医療機関で4価のワクチンが接種されます。
各製薬メーカーが4価のワクチンを製造しましたが、昨年までに比べて価格が大幅に上がりました。これに伴って、当院でも予防接種の価格を変更せざるを得なくなりました。
【接種の年齢と回数】
(1) 6か月以上3歳未満 1回0.25ml 2回接種
(2) 3歳以上13歳未満 1回0.5ml 2回接種
(3) 13歳以上 1回0.5ml 1回または2回接種
※ 生後0~6ヵ月まではワクチンを接種しても抗体の上がりが悪く、有効性が確認されていないため、ワクチン接種の対象となっていません(接種希望があっても接種できません)
※ 1回目の接種時に12歳で2回目の接種時に13歳になっていた場合でも、12歳として考えて2回目の接種を受けて構いません。
※ 2回接種する場合は、腕の腫れを減らすため、左右交互に打つことが勧められています。
【ワクチン接種のお勧め時期】
インフルエンザワクチンは接種後2週目から抗体が上昇し始めて1ヵ月でピークに達し、その効果は約5ヵ月間持続します。2回接種が必要な場合、1回目の接種で抗体がピークに達している1か月後に追加接種した場合に最も抗体が上昇しますので、2回目の接種はこの頃に受けるのがよいでしょう(一般的には、接種間隔は2~4週とされています)。以下は当院として推奨するワクチン接種時期の例です。どんなに遅くとも12月上旬までには最後の接種を済ませておくことをお勧めいたします。
(2回接種の例)
1回目 10月下旬~11月上旬
↓(4週後)
2回目 11月下旬~12月上旬
(1回接種の例)
1回目 10月下旬~12月上旬
【他の予防接種との接種間隔】
不活化ワクチン及びトキソイド接種を受けた場合は、6日以上の間隔をあけて、
生ワクチン接種を受けた場合は、ウイルスの干渉を防ぐために27日以上の間隔をあけて、
次のワクチンを接種することが推奨されています。
安全性を確保するために、インフルエンザ予防接種の前に受けたワクチンをご確認ください。
【不活化ワクチン】 ⇒ インフルエンザ予防接種は6日以上あける
インフルエンザ菌b型(Hib)、肺炎球菌、インフルエンザ、DPT-IPV、DPT、DT、ジフテリア、
破傷風、ポリオ、日本脳炎、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病、子宮頸がん
【生ワクチン】 ⇒ インフルエンザ予防接種は27日以上あける
MR、麻疹、風疹、BCG、おたふくかぜ、水痘、ロタウイルス、黄熱
【妊娠中・授乳中の接種】
妊娠中の接種に関する安全性は確立していないので、妊婦または妊娠している可能性のある場合には、予防接種の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること、となっています。予防接種後の胎児の先天異常の発生率は、接種を受けていない自然発生率より高くなることは無いという報告もありますが、妊娠中の投与に関する安全性は確立しておらず、動物実験では薬剤の胎盤通過性が報告されています。よって、万が一の危険性を心配される方は、接種を控えたほうが良いと思われます。妊娠中の方は、通院中の産科担当医にご相談されることをお勧めいたします。「接種は問題が無い」、と言われた妊婦さんのワクチン接種については、当院でもご相談いただけます。
一方、授乳期間中は、インフルエンザワクチンを接種しても支障はありません。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンというタイプで、ウイルスの病原性を無くしたウイルスの成分を用いているため、ウイルスが体内で増えることが無く、母乳を介してお子さんに影響を与えることはありません。
しかし、授乳期間中にインフルエンザに罹患した場合、授乳を続けながら抗インフルエンザ薬(タミフルなど)を使用することは出来ません。なので、授乳しながらでも受けられるワクチン接種による予防をお勧めいたします(以下をご参照ください)。
※ 授乳中のインフルエンザ治療
授乳期間中にインフルエンザに罹患してしまった場合、母乳中にインフルエンザウイルスが含まれ、母乳を介して乳児に感染を起こすことはほとんど無いと考えられています。しかし、母親と乳児は日常から接触する機会が多く、母乳とは関係なく、咳などの飛沫感染によって乳児に感染する可能性が高いと思われます。
そして、抗インフルエンザ薬(タミフルやリレンザなど)は母乳中に移行すると言われており、投与中に母乳を与えることは避けることとなっています。米国予防注射詰問委員会の勧告では、抗インフルエンザ治療薬について、「授乳中の婦人には投与しない」「投与する場合には授乳は避ける」とあります。
【ワクチンに含まれる添加物について】
ワクチンの中には、防腐剤として「チメロサール」という水銀化合物が添加されているものがあります。
チメロサールが主な原因と考えられるアレルギーの報告例もあり、アメリカではワクチンの中のチメロサールをできるだけ早く低減または削減するとの方針が出され、ヨーロッパでも「使用上の注意」にチメロサールによる過敏症が起こる可能性がある旨を記載するという方針が出ました。
これを受けて、日本国内でもチメロサールによる過敏症に関する注意を「重要な基本的注意」に追記しています。チメロサールを含むワクチンの接種により、過敏症(発熱、発疹、蕁麻疹、紅斑、痒み)が現れたとの報告があり、接種後は十分な注意が必要とされています。
こちらには、チメロサールに関する非常に詳細な記載がありますので、興味のある方はご参照ください。
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/thimerosal1.html
(横浜市衛生研究所のHPより)
【乳幼児ワクチン接種と脳症の関係】
インフルエンザの後遺症として有名なのが、インフルエンザ脳症です。
インフルエンザ脳症に関連して、一時期は抗インフルエンザ薬「タミフル」が飛び降りなどの異常行動の原因と報道されたことがありましたが、「タミフル」で飛び降りなどの異常行動が出たのでは無い、との報告が多数あります。インフルエンザの予防接種と、発症時の早期治療こそが、脳症を防ぐ方法であると、私は考えています。
より詳しい解説については、以下の厚生労働省のHPもご参照ください(「タミフル」についてはQ12に解説があります)。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
【当クリニックの予防接種】
(1)小児は、誤接種を防ぐために必ず母子手帳を持参して下さい。
(手帳の持参が無く、直近で他の予防接種を受けているか確認できない場合には、
接種をお断りすることがあります)
(2)接種開始日は、10/19(月)です
(公費助成の方は、11/2(月)から)。
お問い合わせは、診察時間内にお電話でお願いいたします。
(TEL) 0144-53-5800
完全予約制ではありませんが、予約の方を優先に行います。
確実に接種を受けていただくためには、在庫確認のために電話でのお問い合わせと予約をお勧めいたします(在庫がなくなり次第終了いたします)。
遅くとも12月上旬までには接種を済ませておくことをお勧めいたします。
2回接種の方は、1回目を10月下旬~11月上旬に、2回目をその3~4週後に受けることをお勧めいたします。
(3)チメロサール(水銀を含有した保存料)の入っていない、1人で使い切り型のワクチンは、流通数自体が少ないために、数に限りがあります。原則として早いもの順で、無くなり次第終了です。
小さなお子さんや、授乳中の方、妊婦さん(通院中の産婦人科で接種の許可あり)、水銀の副作用が心配な方には、特にお勧めいたします。
昨年もチメロサールの入っていない(水銀を含まず安全性が高い)シリンジでの接種希望の方が多数いらっしゃり、健康や安全を考える方が増えてきたのだと思われます(シリンジタイプは、在庫が無くなり次第、終了です)
水銀なしをご希望の方は、
・1回接種の方は、入荷次第早い者順で終了
(予約確保は原則として行っていませんが、早期の接種希望の方はお電話でお問い合わせください)。
・2回接種の方(13歳未満)は、1回目を当院で行った場合に限り4週後まで確保の予約を受け付けます。
(4) 価格と回数
【生後6か月以上 1歳未満】
2週間以上あけて、2回接種が必要です(3~4週間後をお勧めします)。
母子手帳をご提出ください。
【1歳以上 3歳未満】
→水銀の添加物を含まず、アレルギーなどの副作用が少ないタイプも選べます。
(製造数が非常に少ないです。在庫がなくなり次第、終了します)
2週間以上あけて、2回接種が必要です(3~4週間後をお勧めします)。
母子手帳をご提出ください。
【3歳以上 13歳未満】
→水銀の添加物を含まず、アレルギーの副作用が少ないタイプも選べます。
(製造数が非常に少ないです。在庫がなくなり次第、終了します)
2週間以上あけて、2回接種が必要です(3~4週間後をお勧めします)。
小児は母子手帳をご提出ください。
【13歳以上】
→水銀の添加物を含まず、アレルギーの副作用が少ないタイプも選べます。
(製造数が非常に少ないです。在庫がなくなり次第、終了します)
原則として1回接種です。
※ 一般に、13歳以上では1回接種で十分な免疫が得られるとされています。
但し、13歳以上でも基礎疾患(慢性疾患)のある方で、著しく免疫が抑制されている状態にあると考えられる方などは、医師の判断で2回接種となる場合があります。
ワクチンは数に限りがある貴重なお薬で、また瓶の製剤の場合、一度開封してしまうと保存することができません。大事なワクチンが無駄にならないよう、窓口で予約していただくことをお勧めいたします(予約がなければ接種が受けられないということではありませんが、確実に接種を受けていただけるためには予約をお勧めいたします)。
また、体調を崩したり、都合が悪くなって予約をキャンセルされる際には、早めにご連絡いただけますと、貴重なワクチンが無駄にならずに済みます。御協力のほどを宜しくお願いいたします。
以下にインフルエンザ関連の資料があるURLを掲載しています。当院へのお問い合わせは、診察時間内にお電話でお願いいたします。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
(厚生労働省のホームページ)
【苫小牧市の公費助成を受けられる方】
・下記に該当する方は、公費助成が受けられます。
・氏名・年齢・住所を確認できる身分証明書(運転免許証や健康保険証など)
をご持参下さい。持参の無い方は公費助成を受けられません。
期間: 平成27年11月1日~28年1月31日
費用: 窓口での負担は、1,300円です。