月別アーカイブ: 2016年8月

【医療機関のホームページ】


こんにちは。
院長の黒田です。

土日は、久しぶりに青空が広がったので外出しましたが、もはや真夏の暑さでは無く、秋空の雰囲気でした。赤とんぼが沢山飛び交う様子に、秋の到来をひしひしと感じました。
 
さて、今回は、いつもの、「病気」のお話ではありません。
このブログをご覧の方は、スマートフォンや、PC、モバイル端末をお使いの方でしょうから、医療機関を選ぶ際には、インターネットで検索することが多いかと思います。
体調が悪くなった際には、キーワードを入れて、googleやyahoo等で検索されるのではないでしょうか。

(例)「苫小牧」「めまい」や、「腹痛」「発熱」などのキーワードを入力して調べる。
    その結果を見て、自分が受診したいと思った医療機関へ行かれるかと思います。
     ノートPC

 
 
そして、自分の病気や症状のことを調べてみようと思い、色んな医療機関のホームページを見ているうちに、最後には、自分の症状や病気が、その医療機関のみでしか治療できないような気持ちになったことは無いでしょうか?
 

スマホで閲覧1 スマホで閲覧2スマホで閲覧3
            

医療機関のホームページは、内容が充実している物が多く、患者さんが調べたい情報が豊富に揃っていることもありますが、ちょっと注意が必要です。何でも掲載して良いかというと、そうではありません。以下に政府広報のページからの転記を貼り付けていますが、医療機関のホームページには、「ガイドライン」という物があり、これに沿ったホームページでなければなりません。
掲載すべきでないものとして、以下があげられています。
 
(1)
【客観的事実ではないもの】

 (例)○○治療は、非常に効果があります ←人により効果は異なり、証明できません。

    ○○治療は、〇倍効きます ←人により効果は異なり、〇倍を科学的に証明できません。

    〇〇治療は、合併症や副作用がありません ←100%を保証する治療は無いでしょう。

(2)
【比較広告】(特定又は不特定の他の医療機関と自らとを比較し、優良である旨を示す表現)

 (例)〇〇治療を行えるのは、当院だけです。 ← 他では行えない事を証明できない。
                        
    〇〇施設があるのは、当院だけです。 ← 同上
 
(3)
【医療機関にとって都合の良い情報などの過度の強調】

  (例)「他の病院では治らなかったのに、〇〇医院の〇〇治療を受けたら、治りました。」

             ← 他の医療機関での治療の効果が出てきたのかもしれません。
                       自然に治る病気もあります。本当に〇〇治療の効果でしょうか。
               架空の人物の体験談で、病気が治るような誤解を招いてはいけません。
               全員が治るのでしょうか? 効果が無い人は皆無なのでしょうか?
 
(4)
【早急な受診を過度にあおる表現】
 
(5)
【科学的な根拠が乏しい情報に基づき、国民・患者の不安を過度にあおるなどして、医療機関への受診や特定の手術・処置などの実施を不当に誘導するもの】

(例)「〇〇注射を受けなければ、病気で後遺症が残ります。」 
    ← 客観的データが無く、不安をあおる内容。

   「〇〇治療は効果が高く、お勧めです」 
    ← 特定の手術・処置などの有効性を強調する誘導で、客観的データがありません。
 
(6)
【公序良俗に反するもの】
 
(7)
【医療法以外の法令で禁止されるもの】
 

以上です。
これは、私の個人的意見では無く、政府、厚生労働省が定めたものです。

当クリニックのホームページでは、このガイドラインを遵守して作成されています。
よって、客観的事実では無い表現は、使用していません
(「当院の〇〇で治療を受ければ治ります」や、「この医療機器は当院にしかありません」、「この治療を行えるのは当クリニックだけです」、「必ず〇〇します」、「最新の医療設備」、「最新の治療」など)。
 
「最新の治療法」や「最新の医療機器」であることが、医学的、社会的な常識の範囲で、事実と認められるものであれば、ホームページ上で「最新」と記載することは、必ずしも禁止されるものではありません。但し、登場してから何年までを最新と認めるか、等の基準を示すことが困難です。

また、ガイドライン上で記載すべきでは無い項目がたくさん出てくるようだと、問題があると思われます。
   サイトにビックリ2
 

医療の進歩はめざましく、最新の治療は日々開発されていますし、良い治療はどんどん取り入れられています。
ですから、私は自分のクリニックが一番優れているとは、決して思っていません。
 
開院して3年を迎えましたが、病気に対して真摯に向き合うよう改めて気を引き締めると同時に、「新しい知識」「新しい技術」から取り残されていかないよう、医学書を読んだり、学会・講習会・講演会に積極的に参加して研鑽を積むように心がけています。
そのために、休診日が生じたり、臨時的に受付時間の短縮をお願いしていることは、通院中の患者さんには、大変申し訳ないと感じております。
但し、学んだことは日々の診療に反映して、それに見合うだけの診療内容に高めていきたいと考えていますので、ご理解のほどをお願いいたします。
 
耳鼻咽喉科疾患とは、何ら関係の無い、非常に長い文章になりましたが、医療機関受診のお役に立つことができれば幸いです。
 
参考までに、以下に「政府広報オンライン」を貼り付けておきます。
医療機関のホームページ上に、ガイドラインで掲載すべきで無い内容が多数あり、その内容に疑問点がある場合には、参考にして頂けると幸いです。
    PCで驚く女性       PCで驚く男性

 

 

 
医療機関のホームページに掲載する表現はガイドラインに沿っていなければなりません
不適切な内容や表現を発見したら都道府県へ通報を

                               平成25年4月15日
 
医療機関のホームページについて、その記載内容と実際の受診時における説明や対応が異なるといったトラブルが問題となっています。そこで、受診する人の保護や正確な情報提供という観点から、平成24年9月に「医療機関ホームページガイドライン」が作成されました。医療機関のホームページの閲覧の際には、ガイドラインを参考にしながら、トラブルに巻き込まれないようにしましょう。

ホームページ上の不適切な表現をきっかけとした医療トラブルが発生

受診する医療機関を選ぶ際にはインターネットで情報を入手する、という方もいるのではないでしょうか。そのためには、医療機関からの正しい情報提供が不可欠です。
しかし、ホームページに掲載されている情報をきっかけとしたトラブルが発生しています。「『100%効果あり』とのうたい文句の点滴を受けたが効果がない」など、ホームページに掲載されている情報を契機としたトラブルも問題となっています。

広告規制の対象外となる医療機関のホームページ

医療は人の生命・身体に関わる極めて専門性の高いサービスである、という考え方から、受診する人の保護の観点に基づき、厚生労働省によって「医療広告ガイドライン」が既に作成されていました。客観性・正確性をみたすものについては、「(医療法の規制範囲内で)医療に関する広告」が認められています。

医療広告ガイドラインの概要
禁止される広告

• 広告が可能とされていない事項の広告
• 虚偽広告
• 比較広告
• 誇大広告
• 広告を行うものが客観的事実であることを証明できない内容の広告
• 公序良俗に反する内容の広告
• その他、薬事法などの他法令やそれに関連する広告の指針に抵触する内容の広告
 
但し、医療機関の「ホームページ」については、その情報を得ようとする方が自らアクセスして閲覧するなどの事情から、バナー広告等とリンクするものを除き、「広告」とは原則見なされていません。
しかし、医療機関のホームページに掲載されている情報を契機とするトラブルが発生しているため、虚偽・誇大な表現など不適切な情報提供による不当な誘引を防ぐとともに、客観的で正確な情報提供により国民・患者の皆さんが適切に内容を理解し、治療を選択できるように努めるという観点から、平成24年9月に、厚生労働省によって新たに「医療機関ホームページガイドライン(医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針)」が定められ、ホームページ上にある不適切な表現の改善を図ることとされました。

 

ホームページガイドライン

 

医療機関のホームページに「掲載すべき事項」「掲載すべきでない事項」
ホームページに掲載すべきではない事項の具体例は次のとおりとされています。

c_02b[1]

 
 
 このガイドラインによって、医療機関ホームページ上における不適切な内容に対して、行政指導ができるようになりました。
皆さんも今後、不適切な情報に惑わされないために、医療機関のホームページがガイドラインに従った適切な表現であるかどうか、ご注意ください。
もし、疑わしいホームページがあれば、お住まいの都道府県の医療課や医務課にご相談ください。

(政府広報オンラインより)
 

夏風邪のヘルパンギーナが増えています。

こんにちは。
院長の黒田です。
 
お子さん達は夏休みが終わり、幼稚園や学校に通い始めているかと思います。大人もお盆休みが終わり、お忙しい毎日かと思います。
リオ・オリンピックが終わり、続々と台風が来て雨降りばかりの毎日で、夏らしくないですね。カラッと晴れた日が待ち遠しい8月です。
  
 
さて、従来はこちらの「ブログ」で、病気の流行状況などをご案内しておりましたが、昨年からは、より迅速で確実な情報伝達のために、「Facebook(フェイスブック)」を利用して、各種のご案内をしております。
しかし、全ての患者さんが「Facebook」を利用しているわけでは無く、また、インターネット自体を使用していない方も沢山いらっしゃるかと思います。
 
あらためて、こちらのブログにて情報発信をさせていただきますが、もし機会がありましたら、「Facebook」に登録して、当院のページに「いいね」のボタンを押してみてください。新しい情報や、臨時休診の案内、受付時間の変更案内などがあった際には、新着情報ありの「お知らせ」マークが出るので、見逃すことが少なくてお役に立てるかと思います。
 
下の「いいね!」のボタンをクリックして頂けると、以下の当クリニックのFacebookページに移動します(課金されたり、何かに登録されることはありませんので御安心ください)。
実際のページで、クリニック外観写真の直下にある「いいね!」を押すと、新着情報をチェックできるようになります。

 

fb_image

既に「Facebook」では、紹介させていただいてから日数が経ってしまいましたが、あらためて病気の情報をご紹介いたします。
昨年ほどではありませんが、今年も夏風邪の患者さんが増えています。
夏風邪と言えば、「ヘルパンギーナ」「手足口病」「咽頭結膜熱」の3つが有名です。
 
ヘルパンギーナは、主にコクサッキーA型ウイルスによる感染症ですが、その他のウイルスが原因となることがあります。
「おたふく風邪」や「水疱瘡(みずぼうそう)」とは異なり、一度罹患(りかん)しても何度も繰り返して罹患することがあります。原因ウイルスが複数存在するために、終生免疫を得るのが難しいからです。
症状の多くは、38-39℃の高い発熱です。咽頭痛を伴うこともあります。
下の写真の様に口蓋垂(のどちんこ)の周りに水疱(すいほう)を認めることで、診断されます。

 
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子供でもしっかり口を開けてくれる場合には、このようにはっきりと確認できます。
 
 

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この患者さんは、「扁桃炎でのどが痛い」とのことで来院されましたが、扁桃には異常が無く、ヘルパンギーナの診断となりました。扁桃に近い場所の病変なので、自覚症状だけでは区別が難しいですね。
 
 

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乳幼児だと、「のどが痛い」と言ってくれず、発熱と食欲低下のみで、保護者の方も困ってしまうことがあります。この子供さんも、発熱と元気が無いとのことで来院しましたが、「ヘルパンギーナ」と診断されました。
口を開けてくれなかったり、病変が小さい場合には、分かりにくいこともあります。しかし、しっかり開口すると、口蓋垂の周りに粘膜疹があるのが分かります。
 
 
「手足口病」でも同様の所見が見られますが、手足口病ではその名の通りに手や足などの全身に皮疹が出ることが特徴です。
「ヘルパンギーナ」と診断されても、後になってから手足に皮疹が出てきたために、「手足口病」と診断名が変わることも少なくありません。
今年は、当院に「手足口病」の患者さんは一人も来ていませんが、他の医療機関を受診している方がいるのかもしれません。
 
どちらも特効薬というのはありませんが、高熱があれば座薬や内服薬などでの解熱を行い、十分に水分を摂取して、安静にすることが大事です。
ウイルスが原因ですので、抗生物質は効きません(抗生物質は「細菌」には効果がありますが、「ウイルス」には無効です)。

              lgi01a201401211200[1]

 
発熱は3日程度で落ち着くことが多いので、心配はありません。
また、感染を防ぐためには、手洗いやうがいをこまめに行うことが重要です。
 
保育所や幼稚園で流行することが多く、罹患した子供が家庭内で、更に感染を広げてしまうことがあります。ヘルパンギーナや手足口病と診断されても、登校・出席停止の義務や法律はありません。なので、まだウイルスを排出しているお子さんが、会話や咳などを通じて、集団生活の中で他の子供たちに感染を広げてしまうことが避けられないのです。
なので、診断を受けた場合には、マナーとしてマスクをつけて、更なる感染を広げない様にするのが良いと思います。夏場なのでマスクの装用は暑苦しいですし、義務もありませんが、周囲に対するエチケットと考えていただけると幸いです。

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特に小さな乳幼児が家庭にいる場合には、お兄ちゃん・お姉ちゃんから感染をもらわない様に、保護者の方が注意することが必要です(風邪症状のある子供には、手洗い・うがい・マスク装用をさせましょう)。
これらの夏風邪は、大人ではあまり見られませんが、免疫力の低下した大人にうつることもあります。ヘルパンギーナの子供さんを看病したお父さん・お母さんは、要注意ですね。
 
夏風邪症状でお困りの際にも、遠慮無く、耳鼻咽喉科専門医へご相談ください。