当院HPの「お知らせ」の通り、遂に苫小牧でも、11/27にインフルエンザ警報が発令されました。
過去のインフルエンザの流行とは大きく異なること、変異株の「サブグレードK」が急激な感染拡大の原因と考えられていることをお伝えいたしました。
(FNNプライムオンラインより。上記をクリックで記事へ)
記事にもありますが、変異株の「サブグレードK」により、感染しやすく、また5~14歳の集団生活をしている小児が流行の中心となって、感染が急拡大しているようです。
対策としては、マスクや手洗いなどの一般的な感染対策を、ワクチンと組み合わせて行う事が重要です。
当院では数年前から、新型コロナワクチンの接種は行っていませんが、現在では、マスコミ、SNS、ブログなどによって、新型コロナワクチンによる副作用や弊害が取り上げられ、「反ワクチン運動」が起きています。
しかし、一方では、小児の5種混合ワクチン、MRワクチン、肺炎球菌ワクチン、日本脳炎などは、「反ワクチン運動」の対象になっていない印象です。
新型コロナワクチンは、人類が初めて遭遇する未知の感染症で、地球規模のパンデミックにより世界中で死者が続出し、日本でも有名芸能人を含む多数の方が亡くなられました。唯一の対抗策として、mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンが登場しました。しかし、複数回のワクチン接種により「ワクチン疲れ」が生じ、また、ウイルスの株が変異を繰り返していたことから、過剰なワクチン接種はむしろ免疫力を下げると考え、当院では同ワクチンの接種は行っておりません。
今では、科学的・医学的にも、IgG4(むしろ免疫力を下げてしまう抗体)を誘導することや、ワクチン由来のスパイクタンパクが分解されずに残存することがあるなど、今後の解明が待たれる事象がある一方で、科学的に全く根拠のないデマも広がり、個人の思想や信念と相まって、それらが融合して「反ワクチン運動」となっています。
但し、新型コロナワクチンと異なり、前述の小児の定期接種ワクチンや、インフルエンザワクチンは、mRNAワクチンでは無く、製造方法や作用機序も全く異なります。インフルエンザの予防接種は任意ですが、新型コロナワクチンの「反ワクチン運動」の内容と混同してしまって、「インフルエンザワクチンは打たない方がいい」、「インフルエンザワクチンは危険」、と誤解されている印象があります。
現在は、「サブグレードK」によるインフルエンザの急激な感染拡大の真っ最中です。インフルエンザワクチンの重要性を踏まえて、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの違いや、ワクチン忌避の理由の誤解について考えてみます。
聖路加病院の坂本客員准教授はワクチンに対する姿勢は大まかに3タイプに分かれると述べています。1「積極的に打つ人」、2「なんんとなく打たない人」、3「明確に反ワクチンの人」で、多数派は2で、3は少数派であるそうです。
大多数を占める2「なんんとなく打たない人」の考えは、
「反ワクチンや陰謀論の様なものを信じているわけでは無い」
「科学的な根拠は理解しているけれども、自分にメリットを感じない」
「打っても感染するし、打たなくても感染しない時もあるので様子見」
「打ちに行くのが面倒くさい」
「副反応が嫌」
「費用対効果で、お金を払ってまで打ちたくない」
などで、非常に幅広い方が含まれるようです。
また、以下の様な誤解や疑問があるようです。
(1)陰謀論等の誤情報(日本人の24.4%は、いずれかを信じている)
・「ワクチンは特定の集団の人口を削減するために開発されたものである」
「世界の人口を減らすためにウイルスがばらまかれた」
→公衆衛生の専門家や国際機関によって、強く否定されています。
・「製薬会社が利益追求のため、安全性を軽視して開発・販売している」
「製薬会社が利益を得るためにウイルスを作成した」
→製薬会社がウイルスを作成した事実は確認されていません。
ワクチンの開発プロセスは、厳格な臨床試験と規制当局の審査を経て承認されています。
・「ワクチンに含まれる防腐剤の水銀が有害で体に蓄積する」
→世界的に水銀を含まないワクチンが普及しています(当院も採用)。
・「ワクチンにマイクロチップが仕込まれていて行動が監視されている」
「ワクチンには放射線が含まれている」
→全くのデマで、科学的根拠は一切無く、物理的にも不可能です。
・「ワクチンを打つと急速に進行する「ターボ癌」になる
→「新型コロナワクチン」接種後の、スパイクタンパクの未分解や、
IgG4増加による免疫機能低下のことですが、発癌との因果関係を示す科学的な根拠は示されていません。卵巣癌など特定の癌による死亡率が増加したと言う事実は確認されておらず、日本の癌死亡率の上昇は、主に人口の高齢化が原因と考えられています。まして、「インフルエンザワクチン」による発がんは確認されていません。
・ワクチンよりも感染して自然免疫を得た方が良い
→インフルエンザ感染は、重篤な症状を生じる可能性があります。今年1月には1ヶ月間で4000人以上の方が亡くなられています。
(2)ワクチンの株と、インフルエンザの株が一致しているか
・インフルエンザワクチンの株は、厚労省の依頼に応じて2月中旬~4月上旬にかけて、国立感染症研究所で検討されて推奨株が決定します。その後も各種委員会で審議されて、最終的に決定します。
・2025/26のワクチンに採用されたワクチン株は、
【注射型ワクチンが、以下の3種】
・A/ビクトリア(H1N1)
・A/パース(H3N2)
・B/オーストリア(B/ビクトリア系統)
【鼻内噴霧型のフルミストが、以下の3種】
・A/ノルウェー(H1N1)
・A/パース(H3N2)
・B/オーストリア(ビクトリア系統)
両者とも3価のワクチンですが、H1N1型の株だけが異なります。しかし、どちらの株も、WHOの推奨株の中から製造が決定されています。
・今シーズンは、A型のH3N2型の変異株「サブグレードK」という想定外の株が流行していますが、ウイルスの一部が変わったに過ぎません。
それでも、専門家の間では、今シーズンのワクチンの効果が低下する懸念があり、実験室での研究では「サブグレードK」に対して効きにくい可能性が示唆されていました。
・ところが、実際の人間社会を対象とした調査では、ワクチンが有効である事が示されました。つまり、ワクチン接種者は、救急外来を受診したり、重症化して入院する人数が大幅に少ないことが示されました。特に子供(2~17歳)には非常に高い効果があり、有効率は救急外来、重症化入院、それぞれ74.8%、73.8%でした。
・なぜ変異したウイルスにもワクチンが効いたのかについては、以下の通りです。
1.主に小児に使用される経鼻噴霧型ワクチンの「フルミスト」が、免疫系を幅広く刺激して、ウイルスが少し変異しても対応出来る防御効果(交差防御)を発揮した可能性が推測されています。
2.18歳以上の大人でも、救急外来受診予防効果が30%代半ばと、例年の一般的なワクチンの有効性の範囲内でした(明確な理由は不明です)。
(詳細は、上記をクリックで記事へ)
また、「インフルエンザ予防接種で後悔しないために/受けない場合のリスクと対策」と題した他院のHPの記事が非常に良くまとまっています。
(大阪の「I&T 医長と脳のクリニックのHPより)
(上記をクリックで同院のHPの記事へ)
今年の1月の流行期には、1ヶ月間で4000人以上がインフルエンザ関連で亡くなっており、現在のような感染の急拡大が続けば、今後は重症者がさらに増えることが予想されています。
福島県は定点当たり86.7人と全国で2番目に多く、福島県立医大の感染制御学講座の山藤主任教授曰く、有効な対策は、
「変異によって感染予防効果が一部低下したとしても、ワクチン接種により重症化を防ぐ効果が期待できる」
とのことです。
(毎日新聞より。上記をクリックで記事へ)
以上、現在のインフルエンザの流行の状況と、インフルエンザワクチンに関する正しい知識(「新型コロナワクチン」と混同しない)を基に、接種を受けるかを判断するのが宜しいかと思います。
インフルエンザワクチンの接種は任意ですが、接種を考えている方は、抗体が産生されるまで2週間を要しますので、お早めに検討していただくことをお勧めいたします。
特に、感染すると重症化しやすく、異常行動の危険性がある若年層の方には、変異型ウイルスにも有効性が高く、痛みが無い鼻内噴霧型で、1回の接種で済む「フルミスト」の接種をお勧めいたします。
